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生活費も家事も夫がほぼ全負担…「妻の顔色だけをうかがう生活」を続けた理由

女性のヒステリーがトラウマ

 園田さんの生い立ちは少々複雑だ。 「両親は僕が4歳のときに離婚してるんですが、そのときの記憶は鮮明に残っています。とにかく父と母は仲が悪くて、しょっちゅう喧嘩。その母が、激昂するとヒステリーを起こして奇声をあげ、近くにある物を叩きつけて壊すんです」  この強烈な体験により、園田さんは女性のヒステリーや、それに伴って物を壊すという行動に極度の恐怖心を抱くようになった。 「莉子のヒステリーで、当時の記憶がフラッシュバックしました。心臓がバクバクして……恐ろしかったです※写真はイメージです 両親の離婚後、園田さんは母親に引き取られた。彼女は当時、関西のとある歓楽街でホステスとして働いており、そこの常連客と再婚。園田さんに新しい弟ができる。ところが、園田さんと継父は折り合いが悪かった。 「継父は昭和40年代に辺鄙な山間部の村から就職列車で上京した工員です。母親よりうんと歳上。その彼がものすごく感情表現に乏しい人で、何を考えているのかさっぱり分からない。すごく苦手でした。ときどき突然機嫌が悪くなって母や僕に当たるんですが、そのきっかけも全然読めないんです」

「妻の顔色だけをうかがって生きる」と決意

 母親のヒステリーも相変わらず。両親がいつ爆発するかもしれない恐怖に園田少年はいつも怯えていた。 「だから僕、周囲の大人の顔色を常にうかがう子供でした」  女性のヒステリーに対する尋常でない恐怖心と、人の顔色を常にうかがう癖。このふたつの資質が、園田さんを長い長い地獄に引きずり込んでゆく。 「莉子が初めてヒステリーを起こしたあの日から、彼女が二度とヒステリーを起こさないためにはどうすればいいかだけを考えるようになりました。莉子が平穏な心で毎日を過ごせるように、僕が全力で環境を整えねばと」  園田さんは、莉子さんの顔色だけをうかがって生きていくことを決意し、それを完璧に実行する。二度と、あのような怖い思いをしないために。
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いっそ自分が全部やる
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