5~6年一緒に暮らしていたある日、K氏から「親の介護でちょっと実家に行く」と言われました。50代のK氏の親は80代です。介護と言われたら誰もが信じるでしょう。
荷物も着替えも家財も置いていき、1日実家に行ってまた戻ってきました。今度は数日実家に行って戻ってきたり、外でデートをしたり。
そんな風にして徐々に、K氏が“実家”へ行っている日が多くなっていきます。
二人暮らしだったときは家賃は折半でしたが、彼が「払うよ」と言いつつお金を出さないため、恵さんがマンションの家賃を全額払っていました。
あるとき彼から電話で「
今度“そっちに行く”ときに、◯◯を持っていくから」と言われたという恵さん。
「“帰る”じゃなくて“そっちに行く”って言われた時、ここは二人の場所じゃないんだと気が付きました。何も話し合いもなく、勝手に出て行ってしまったことに、悲しくなりました」
今になって思えばそれは親の介護ではなく、他の女性と結婚して家庭を持っていたのです。
でも恵さんはその時に、関係を見つめなおして話し合おうとしました。「私を置いて出て行った」と泣きながらK氏を責めた時に、K氏もボロボロ泣いていて「違う!」と断言していたそうです。
ここが常人には理解できないところです。奥さんがいて彼女と別れ話になったら、そのまま別れればいいのに。
「彼は、穴が開いた靴下ひとつ捨てられない人でした。例えば知り合いの中に、振り込め詐欺の手伝いをして逮捕歴があるような人もいたんですよね。私は関わらない方がいいと言っていたのですが、『困っているから』と頼られるとそんな人とでも会っていました。それが彼なんです」