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『silent』最終回で“湊斗ロス”を訴える人が続出。胸キュン名ゼリフを振り返る

すべての人に開かれた一冊を携えて

© フジテレビ 湊斗君が登場する場面の台詞をどんどん拾っていくと切りがないのだけれど、いずれにしろ本作全話を通じて、もし湊斗君の名言を拾い集めた一冊の名言集を編み上げるとしたら、どうだろう? すると第9話で、湊斗君から想に返された高校生の頃の紬が書いた甘酸っぱいメモだって、その一冊に付箋のように貼り付けていくことだってできるのだ。  第10話、光から幸せについて聞かれた湊斗君は、「それかな」と答える。光が咄嗟に「どれ?」と聞くのだが、もうこれは誰か特定のひとりに対する気持ちというより、広く一般に対する普遍的な「それ」なのだ。これらの名言は、「紬を幸せにし隊」の隊長として彼女を幸せにするためであるし、またそれは2020年の年賀状を読めなかった文学青年の想にとっては、何よりも「魔法のコトバ」として読めるものだし、そしてそれはまたおそらくすべての人に広く向けられている。  そして最終話。紬の家にやってきた湊斗君は、紬と想との現在の関係性をこんなふうに言っていた。 「ちゃんとお互いのこと見てるのに、見てる時間だけ違ってる。8年分、ずれてる」  ここまで誠実で、端的な言葉(台詞)は他に見つからない。この台詞を集録して名言集がいよいよ編み上がる。この一冊は、すべての人に向けて開かれた言葉で書かれている。この一冊を携えて、湊斗君ロスのロスタイム(延長戦)を走り抜けてみてほしい。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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