義母は、「
あんたがこんな女にお金を使うから、うちはお金がなくて」と叫んでくれたという。周囲を通る人たちがじろじろ見る。
彼女はそんな状況に耐えられなくなったのだろう。すっと夫から離れていった。夫は彼女のほうを気にしながらも、息子にせがまれてふたりで歩いて行った。

「義母のためにタクシーを待たせていたので、ふたりで乗りました。それからすぐ夫から連絡があって、『
かあさんが息子を連れて会社の近くまで来たから、仕事はとりやめて息子とふたりで遊びに行く』と。義母は、この期に及んでも嘘をつくんだね、申し訳ないとつぶやいたので、ちょっとお義母さんがかわいそうになったけど」
夕方帰宅した夫は、少し元気がなかった。だがアユミさんは素知らぬふりをして、ふだんと同じように接していた。
「夫は彼女にフラれたようです。あれから2年、今のところはおとなしく過ごしています。若い女性と私を比べられたのは、本当に嫌だった。
若い女性とつきあっているからといって、ともに生活している妻を見下すような言動が許せなかった。それを義母がわかってくれたからできた復讐だと思います」
義母という協力者は最強だった。アユミさんは離婚する気がなかったから、自分が手を下すのは避けたかった。義母はそこまで理解して共感してくれたのだ。そんな義母とは今も実母よりも仲がいいという。こうした復讐には協力者が必要なのかもしれない。
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<文/亀山早苗>
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