「やっぱりおかあさんの料理はうまいなあ。カホもちゃんと教わっておけよと夫は言うんです。義母も『働きながら家事もやるのは大変よねえ。でもね、
息子が倒れたらあなたのせいですからね』と同情だか恫喝(どうかつ)だかわからない言葉を浴びせかけてきました」
ところが義母の料理、カホさんにはそれほどおいしいと思えなかったという。味つけが濃く、出汁もほとんどきいていない。

「それでも夫がそれを好むならと義母にレシピをきくと、『
見て覚えなさい。いちいち分量なんて量ってないんだから。これはね、経験と愛情よ』って」
味が濃ければいいのだろうと、それからは少し濃くしてみたが、やはり夫からは「仕事辞めて、おふくろに弟子入りしろよ」と言われる始末だった。
妊娠した妻に「うっとうしいなあ。実家に帰れば?」と夫
このままでは夫とはうまくいかない。毎週末やってくるようになった義母と、それをありがたがっている夫を見ながら、カホさんの頭の中に「離婚」の文字が浮かんだ。ところがそんなときに妊娠がわかり、彼女は離婚をいったん棚上げすることに。

「つわりがひどかったんですが、夫は『
おかあさんが言ってたよ、つわりなんて病気じゃないって』と言うだけ。仕事をしているときはそうでもないんですが、帰宅すると本当につらくて立っていられない。しかもほとんど食べられない。でも夫は帰宅して私が横になっているのを見ると、『
うっとうしいなあ。そんなに具合が悪ければ実家に帰れば?』と。
うちは両親が離婚していて私は母に引き取られたんですが、その母も10年前に再婚して遠方にいる。しかも母の再婚相手と私はあまり折り合いがよくない。それを知っていて、そういう言い方をする夫を軽蔑しました」