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女性向け防災キットにコンドームが入っているワケ。開発した老舗企業の社長を取材

緊急時、経血が漏れたときのことも想定

ミニマムキット

ミニマムキット

――Fellneから販売している災害用レディースキットは3種類ありますが、それぞれの用途は異なりますか? 鈴木:3daysBOX、1dayスリムBOX、ミニマムキットの3種類です。オフィス待機など、緊急時の被災状況を踏まえた3daysBOXには、生理用夜ショーツやリフレッシュシートなど、12種類の衛生用品が入っています。 被災時に生理で経血が漏れたときや、スカートを履いた女性社員がいることを想定し、黒色の非常用ズボンが入っているのが特徴です。 ――1dayスリムBOXとミニマムキットは、3daysBOXと比べるとコンパクトな仕様となっているようですね。 鈴木:もう少しコンパクトな防災グッズがほしいというお客様のご要望もあり、1dayスリムBOXは2cmの厚さにしてつくりました。生理用品のほか、化粧品や乳液など、1日の洗顔用品を入れています。 ミニマムキットは、取引先に行く社員や在宅勤務をする社員に会社が配ることを想定してリリースしています。災害時にかかわらず、お泊まりなどのシーンでも使えるような仕様になっています。 ――鈴木さんが特にこだわった部分は何ですか? 鈴木:巾着袋を入れることにはこだわりましたね。キットにはナプキンを捨てる黒色の消臭袋が入っているのですが、消臭袋をもってトイレに並んだり移動したりすることに、恥じらいを感じる人はいると思います。そういった人たちのために、巾着袋は有効だと思います。

災害用レディースキットにコンドームが入っている理由

レディースキットに入っているコンドーム

レディースキットに入っているコンドーム

――どのレディースキットにもコンドームが入っていますが、どんな理由があるのでしょうか? 鈴木:2月に起きたトルコ・シリア大地震や東日本大震災でも取り上げられていましたが、災害時に女性が性暴力を受ける事態が相次いでいます。そういった現状で、本来ならば(女性が主体的に選べる避妊方法である)緊急避妊薬を入れたかったのですが、日本では医師に処方してもらわないと入手できない状況なので、「自分の身を守るためのお守り」としてのメッセージをこめて、コンドームを入れることにしました。また、コンドームは止血や水を汲むこともできるので、さまざまな用途として使えます。 ――女性がコンドームをもつことに対して、まだまだネガティブに捉える人もいる印象です。 鈴木:女性がコンドームをもつことは「はしたない」「淫らだ」と考える風潮はまだ残っていますよね。ですが、女性が自分の身を自分で守ることは、恥ずかしいことではありません。望まない妊娠を避けるなど、しっかりと計画を立てることが女性が長く働き続けるための重要なことだと思います。それでも、会社によってはコンドームを抜いてほしいという意見もあるので、そのときはご要望に合わせて納品しています。 ――会社としてコンドームに抵抗感をもつ理由は何ですか? 鈴木:女性より男性のほうが抵抗を感じるケースが多く感じます。理由として、コンドームをもつことで、「女性側が性交渉をしたいと勘違いされてしまうのではないか」という意見を聞きます。しかし、被災地ではさまざまな場面が想定されます。 もちろん性生活が当たり前のものとして、被災地でも性交渉がおこなわれる可能性は考えられるため、望まない妊娠を防ぐためにコンドームが使用されることもあります。さまざまなケースでコンドームが役に立つことも、より多くの人に知ってもらいたいです。
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第三者が入ることで生理の話題が生まれる
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