亮太さんの懐事情を知ってしまったがゆえに、婚約指輪は期待せずにいた沙也加さん。
とはいえ「安物でもいいから、婚約指輪は用意してほしいなと、ちょっとは期待しちゃってたんですよね」と当時の心の内を明かしてくれました。

そんな沙也加さんに、ちょっとした事件が起こります。
それは結婚を決めてから数日後のこと。亮太さんから「母が沙也加に会いたいと言っているから、家に来てくれる?」と連絡が来て、義実家に出向いたそうです。
すでに彼の家族へは挨拶済みだったので「なんだろう?」と不思議に思ったと言います。
到着するや否や、義母から「沙也加さん、まあ座ってて」と、リビングのテーブルに案内された沙也加さん。

しばらくすると、小さな箱を持ってきて「これ、沙也加さんに似合うかしら?」と言いながら、その小さな箱を開ける義母。
中には、美しく輝くダイヤモンドの指輪が入っていました。
この光景を見て、なぜか誇らしげな表情の亮太さん。
一方の沙也加さんは「まさか義母に指輪をパカっとされるなんて思ってもみませんでしたよ」と苦笑いしながら話してくれました。
戸惑う沙也加さんを横目に義母は一言。
「これ、昔お父さんからもらった大切なものなの。ブランド名はもう忘れてしまったけど、高級なブランドのものみたいだから、資産価値はあると思うのよ。これ、沙也加さんもらってくれないかしら?」と、嬉しそうな顔で話してきたのだそう。
どうやら貯金がなくて婚約指輪を買えない亮太さんが、母に泣きついた様子。そんな息子を見かねて、義母は自分の婚約指輪を沙也加さんに渡そうと決めたのだと言います。
正直、高級なブランドの指輪が欲しかったわけではなく、彼から指輪がもらいたかっただけだった沙也加さん。とはいえ「ごめんね。この子、貯金本当にないみたいなの。うちも家計が苦しくて、あまりお金出せないけどこんなもので、良ければ……」と息子を庇う義母と、そんな義母に甘えっぱなしの彼に、イライラが募っていったと言います。

しかし、結婚を控える身としては、出来るだけことを荒立てたくなかった沙也加さん。義母が自分の大切なものを渡そうとする想いを無下にできないと「嬉しい~!ありがとうございます!」と笑顔で受け取り、その場は円満におさまりました。