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岩田剛典への「不倫路線」説に反論。セックスレスに悩む男女がついに“現行犯逮捕”へ

「参ったな」で不倫未遂の目

 勝手気ままな夫・陽一(永山瑛太)に約束をすっぽかされたみちが、退勤後にひとり、桜を見ながら缶ビールを飲む。そこへ新名がやってきて、彼もビールを買ってくる。ふたりは、桜並木の川辺のベンチに座る。なんとなく会話が弾んだ拍子に、みちが夫とセックスレスであることを唐突にミングアウトする。すると、「参ったな」とつぶやく新名の目がなぜか潤んでいる。  え、なんで泣いてる? この場面を原作マンガで確認すると、新名の目はそれほどで潤んでいるようには見えない。それは、完全に不倫の目だ。潤んだ岩田剛典で、“潤み典”とでも言えばいいのか。岩田の驚きの演技に視聴者が逆に参る名場面だ。  桜の花びらが画面を泳ぎ、菅野祐悟の音楽が、この桜の会に完璧な情愛の雰囲気を漂わせる(さすが岩田が出演した『シャーロック』の作曲家と西谷弘監督の演出だ)。「腹減りませんか?」と困り顔の新名もいい。次のノー残業デーもコピー機の前、ひそひそ話で桜の会の約束をする。新名は、ゆるやかに、でも積極的に誘う。  ベンチに座って袋を握りしめるみちを見て、新名は踵を返す。よし、思いとどまったか。いきなり画面にながれはじめる「ダンスはうまく踊れない」(1977年リリース、石川セリの曲を稲葉浩志がカバー)が、不倫未遂の瞬間を甘やかに歌い上げる。  すんでのところで帰った新名は、冷たい城のような自宅マンションへ。玄関で雑に脱ぎ捨てられた妻・楓(田中みな実)のヒールを見つめる。妻と久しぶりの夕飯を食べられるかと期待した新名が、タッパーに惣菜を詰める姿もたまらなく切ない。

さすがに純愛とは呼べない

 新名が次に誘うのもみちがコピーをしているとき。彼にとって不倫の約束の場所は、コピー機前が相場と決まってるのか。ちょうど部内の花見があり、買い出しだと言って、新名はみちと抜け出す。  夜のグラウンドを背景に新名がやや前を歩くツーショットがいい。手持ちカメラの揺れが、彼らの心模様を代弁する。夫とのことで心が壊れつつあるみちが走り去る。みちを追いかてきた新名が、ここで衝撃の告白。同じセックスレスの悩みをもつふたりが、他の社員たちの目を盗んで木の裏で抱きしめ合う。不倫未遂からついに不貞行為を実行へ。これは、現行犯逮捕か。  傷の舐め合いのような不倫をさすがに純愛とは呼べない。今回ばかりは『金魚妻』のようにはいかないか。でもこれはなにせ岩田剛典による初の不倫ドラマだ。紛れもない背徳の人を演じるにしろ、純愛のピュア王子・春斗役の記憶はある。不倫の毒牙に噛まれた新名が、すこしでも純(ピュア)な魂を取り戻することを祈るしかない。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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