シてくれない妻に涙目になる岩田剛典がカワイイ…!ついに不倫の扉は開くのか|ドラマ『あなたがしてくれなくても』
不倫ドラマは面白い。ある2組の夫婦による不倫が描かれる『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系、毎週木曜日よる10時放送)では、一方の夫役を我らが岩ちゃん(岩田剛典)が演じるのだから、なおさらだ。
満たされない誰かが同じように満たされない相手と心の襞(ひだ)をからませる。こうした不倫関係を複雑な感情でふるわせる岩田の演技が、とにかく切なくてたまらない。
「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、“魂の潤み典”、“冷蔵庫の妖精さん”など、本作の岩田剛典を命名しながら、彼ならではの表現力を読み解く。
「ずっと誰にも開けられなかった扉が、そのときふと、開いてしまったような気がした」
第2話冒頭、出社した新名は言う。「俺自身、開けることができなかった扉を」とも付け足すその「扉」の先には、未知の不倫世界が広がる。開けたのは、もちろん新名誠(岩田剛典)だ。
きっかけは、退勤後、桜並木の川辺のベンチで、同じ営業部の吉野みち(奈緒)から「セックスレス」だとカミングアウトされた瞬間だった。「参ったな」とつぶやいて瞳を潤ませた新名のこの一言が、不倫の扉を開ける鍵となった。
『金魚妻』(Netflix、2022年)で岩田剛典は、孤独な人妻を凶暴な夫から匿(かくま)ううち、はからずも恋愛関係になる役柄を演じた。それが今度はみずから、(どちらかと言うと)積極的に相手を不倫の世界へ連れていこうとする。朝のオフィスにいる新名が、透明感のある表情で投げかける涼やかな視線は、完全に不倫の人として身を固めた目をしている。
『金魚妻』よりずっとリアルで生々しい不倫(いや、筆者は同作を不倫ドラマだとは思っていないのだが)が描かれる本作に、そろそろ男女の濡れ場がきてもいい頃合いだ。何せ新名が不倫を覚悟したのだから、早いところね……。
新名は、毎晩、妻・新名楓(田中みな実)の身体を気遣う料理を作る。ファッション誌の副編集長である楓の帰りは遅い。彼女の分は温かいうちにタッパーにつめて、作り置きしておく。作ってすぐ冷蔵庫に入るタッパーの中身はあっという間に冷める。まるで新名夫婦の関係性そのものを象徴するかのよう。
今晩の献立は、酢豚。まず豚肉を湯通しする。赤と黄のパプリカを手際よく切る。まな板に添えられた左手の薬指の指輪が悲しく光る。楓の健康を考えるほどに、ひとりで夕飯を食べる新名の心はどんどん病む。この酢豚は、湯通しによってオイルカットがされ、体脂肪の燃焼を促す野菜類も豊富な健康志向の中華だが、薄味でさっぱりした酸味には、新名の心が無意識のうちに求める甘酸っぱい不倫の味が隠されている。
不倫の扉を開ける鍵
甘酸っぱい不倫の味
ドラマ『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)は毎週木曜よる10時より放送
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