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セックスレス解消の“戦友”が行き着くのは、不倫か純愛か?岩田剛典が表現する愛の不毛|ドラマ『あなたがしてくれなくても』

 岩ちゃんの浴衣だ!
© フジテレビ

4話より © フジテレビ

『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系、毎週木曜日よる10時放送)で、岩田剛典扮する新名誠には毎話、いろいろ期待してしまう。でもそれ以上に、夫婦関係に悩み、孤独をつのらせる新名が、道ならぬ不倫へとひた走る姿に、悲痛な思いがする。 「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、井上陽水による挿入歌と連動する岩田剛典の繊細な演技を読み込む。

冷蔵庫の妖精がなぜか現れない

© フジテレビ

4話より

 冷蔵庫を開けて、中をのぞき見る。妻・新名楓(田中みな実)のために作り置きしておいたタッパーを見つめ、中身が減っていないことを確認し、扉をしめる。新名誠(岩田剛典)の日常は、ただそれだけに終始しているかに見える。  扉を開けた瞬間、新名の物憂げな表情が、冷蔵庫の四角い枠とカメラのフレームによってダブルでフレーミングされる。岩ちゃんがまるで“冷蔵庫の妖精”のように描かれるこの場面が、毎話を見る楽しみになってさえいる。  でもなぜか、第4話では一度として、冷蔵庫の妖精が現れない。疲れて帰ってきた楓に新名が、「食事は?」と聞きながら、冷蔵庫をわずかに開けるが、食べてきたと言われるとあっさり扉をしめる。当然、冷蔵庫の内部から新名の顔が縁取られることはない。

新名の冷ややかな視線が注がれた一品

 さらに、これもお決まりの楽しみである新名による料理場面、“新名クッキング”も描かれない。どうせ作り置きをしても、楓は食べてくれない。だったら、毎回の作り置きはやめにしよう。  第3話では、そう思いながらもやっぱり料理を始めてしまう新名の健気さが辛うじて保たれていた。その晩はトマトペンネを作ったのだが、結局食べてはくれず、朝方の暗がりで自分が食べる羽目になった。あの瞬間、新名は、楓への献身を自らに禁じたのだろうか。  新名クッキングは、調理過程が描かれてこそ、彼の献身的な熱量が伝わる。社員研修旅行に出かける朝、「誠のポーチドエッグ、久しぶり」と言って楓が食べるポーチドエッグは、調理過程が省略されている。過程が省かれたということは、おそらくそこに愛はない。だから心なしか、料理に温かみが感じられない。楓に対する冷ややかな視線が注がれた一品だとも言える。
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愛の不毛が行き着くところ
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