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セックスレス解消の“戦友”が行き着くのは、不倫か純愛か?岩田剛典が表現する愛の不毛|ドラマ『あなたがしてくれなくても』

井上陽水の歌詞世界と連動する岩田剛典の演技

© フジテレビ

4話より

 みちの浴衣の帯紐が解かれ、覆いかぶさる新名が、唇を重ねる。この場面を見て、筆者は、本作の挿入歌として稲葉浩志が歌声を吹き込む「ダンスはうまく踊れない」の歌詞のことを考えた。  同曲のオリジナル歌唱は、1977年リリースの石川セリによるもの。作詞作曲を手掛けたのは、石川の夫である井上陽水だが、「風の様に水の様にふたり」がいかにも井上らしい世界観だ。  楓への愛の不毛で孤独をつのらせ、みちに恋焦がれる新名の心模様を代弁している。井上つながりで「水の様に」が導くのが、名曲「リバーサイドホテル」(1982年リリース)だろう。の2番のBメロは、「ベットの中で魚になったあと」とある。新名は、客室のベッドでまさに水を得た魚のようになるはずだった。  それなのに、身体を重ねている最中にみちは、なぜか涙を流す。異変に気づいた新名は、バツが悪そうに身体を離す。ああ、「魚になった」岩ちゃんが見たかったのに。帰りのバスで、うつろな表情を浮かべる新名は、心の中で絶対この曲を歌いながら、昨日の夜のその先を考えているはずだ。  第4話の新名は、台詞がすくない分、表情だけで感情の機微をふるわせる。井上陽水の歌詞世界と連動する岩田剛典の演技が素晴らしい余韻をうむ。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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