「毎朝の事だったので、正直キツかったですね。でも、それよりキツかったのは、PTA役員や委員会以外の会員(保護者・教員)から旗振りのお手伝いを募らなくてはならないことでした。全校児童1000人超えの小学校で、かなり学区が広いんですよね。5つの通学路で区間ごとに分けて通学時に危険な場所に旗振りとして立ってもらうようにしたかったのですが……人手が全然、足りませんでした」
責任感の強い田中さんは、やむを得ず、人手が足りない学区に住んでいる家庭へ直接お願いに行くことになったそうです。
「直接PTAの活動をお願いしにいくのは、本当に気が進みませんでしたね。でも、旗振り当番のまとめ役として、登校の際に児童が車の死角になる場所や、横断歩道などの危険な場所に旗振りがいないのは不安でした。何かあった後では遅いので。
旗振り当番は、危険が伴うために下の子連れではできない決まりがあります。なので、事前に下の子がいないかを調べてからお願いに伺うことにしました」
しかし、田中さんが直接お願いに行った先は、下の子がいなくても家庭の事情で朝の旗振りはできない家庭がほとんどでした。
「妊娠中なんです」「親の介護があって」「出勤がちょうど8時で」など、予想はしていたものの、平日の朝に旗振りとして立てるのは限られた人だと実感した恵美さん。
「結局、皆さんに事情を説明して地域の方に力を借りる事にしたんです。子育てを卒業している地域の方は、朝8時の旗振りも笑顔で引き受けてくれました。『子どもが好きだし、頼ってくれたら嬉しい』『時間もあるし、地域の役に立てるなら』と言ってくださる年配の方は思ったより多かったですね。正直、旗振りは地域の有志の方々にすべてお願いしてもいいのではと考えてしまいました」