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異例の「同局2クール連続主演」坂口健太郎はなぜ抜擢され続けるのか

驚きと発見が限界突破する演技

 実際、坂口健太郎の演技は、ワクワクがとまらない。いや、ワクワクどころか、驚きと発見が限界突破する。つい最近の主演映画である『サイド バイ サイド 隣にいる人』(以下、『サイド バイ サイド』)は、冒頭から、観客の目を釘づけにした。  走行するバス車内。激しく移ろう車窓を背景として、坂口がとらえどころのない表情を浮かべる。横顔、正面、どこから見ても完璧な佇まいでフレームの中におさまっている。坂口の顔、顔、顔。この冒頭の演技を見て、胸のザワザワがとまらなかった。  これは何かがはじまる。坂口が映る画面に、いちいち驚き、そのひとつひとつを点検するうち、これが映画の力なんだなという発見にいたる。食卓で少女が伸ばしたちいさな手をはむっとする姿や坂口がシンクで洗う野菜たちの鮮やかな色合いなど、ほとんど衝撃映像に近い瞬間ばかりだった。

味わい深いクールな骨格

『東京タラレバ娘』公式サイトより

『東京タラレバ娘』公式サイトより

 思えば、吉高由里子主演の『東京タラレバ娘』(日本テレビ系、2017年)でも、黒い帽子を脱いであらわになるさらさら金髪(『サイド バイ サイド』でのくせっ毛との絶妙なコントラスト! )も鮮やかな色合いだった。  坂口のドラマ初主演作は、『シグナル 長期未解決事件捜査班』(関西テレビ・フジテレビ系、2018年)だが、その前夜の輝きが、この金髪にはあった気がする。いずれの作品でも、韓流スターのようなケレン味と彼特有のクールな骨格が、唯一無二の表情を見事に演出している。  全体として、潤い満点、ツルンとした印象があるのに、ひとたび笑えば浮き出るエクボや柔らかなシワが、チャームポイントになる。  当然、イケメンフェイスな魅力は最強だが、でも単に外見にばかり気を取られないのは、やっぱりあの顔の骨格が味わい深い内面の演技を引き出しているからだ。
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一瞬の鼻こすりは“彼にしかできない妙技”
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