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異例の「同局2クール連続主演」坂口健太郎はなぜ抜擢され続けるのか

元医者の「得体のしれない雰囲気」で魅了

 さて、そんな骨格俳優・坂口健太郎が主演する4月期土曜ドラマ『Dr.チョコレート』は、どうだろう?  第1話冒頭、シンガポールからの飛行機内での不祥事をちゃちゃっと片付けるのは、野田哲也(坂口健太郎)と寺島唯(白山乃愛)の凸凹コンビ。  わずか10歳の唯のほうが、実は天才外科医の腕を持つ通称「Dr.チョコレート」なのだ。彼女にティーチャーと呼ばれる哲也は、元医者だったが、義手をはめた姿には得体のしれない雰囲気がある。  得体がしれないと言っても、別に危険人物というわけではなく、むしろ唯とのコンビ愛をにじませるバディ感がほほえましい。空港からバンを走らせる車内で、ふたりは短い会話を交わすが、たわいのない感じが絶妙な空気感を醸す。

一瞬の鼻こすりは“彼にしかできない妙技”

 Dr.チョコレートの存在を取材する東都新聞記者の奥泉渚(西野七瀬)と会話する場面もやはり車内。ギブアンドテイク。  哲也は、このフレーズを何度も繰り返す。「こちらも情報を与えるので、そちらからもいただきたい」と言って、哲也は鼻をこする。  この場面、ピントは主に演技をする西野に合っている。にもかかわらず、ピントが合っていない方の坂口(しかも横顔で!)が、瞬間的な妙技を発動するようにわずかな仕草で魅せる。  この鼻こすりにはたまげた。一瞬の出来事だったが、いやはや、これこそ、事件発生ではないか! <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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