Entertainment

NHK『らんまん』主演・神木隆之介を輝かせる「爽やかな風のような相棒」の存在感

見る者の心を捉えて離さない演技

『らんまん』より©︎NHK「いろいろ見すぎて、くらくらしゆう」  東京で開催された博覧会で、さまざまな出し物を見物した竹雄が言う。でもね、「くらくら」するのは、実際、視聴者のほうなのだ。  植物に目がない万太郎が、心の友と慕う植物学者たちと会う場面はすごい。中庭に案内された竹雄が、「東京からは遠い。小さい村ですき」とぼそり。この瞬間に見せる志尊の表情と言ったら、ただ事ではない。  あるいは、すぐあとの場面。研究所内の万太郎を中庭から見つめる竹雄が、わずかに目を動かす短いショット。彼は、遠く高知や綾のことを思っている。この東京への旅路は、竹雄にとって心の旅でもあるのだ。  そうした竹雄の繊細な機微を見事にすくあげる志尊の細やかさには、軽くめまいがするほど(まさに、くらくら)。  第4週第19回、綾を探して高知にきた竹雄が、水辺で告白しかける場面は、ことさら美しかった。  竹雄は、基本、相手の話に耳を傾ける人だ。右頬を灯りに照らされ、思い切って言葉を発する表情。そのあと、綾に近くの祭りを見てみようと言われた瞬間の「はい」。  少ない言葉数でも、志尊が放つと、画面には奥行きが生まれる。彼の演技は、見る者の心を捉えて離さないのだ。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ