
10話より
ただ、誤解しないでほしい。演技とは相手の俳優との対話のようなもので、別にひとりで岩田が演技しているわけではない。だとしても、岩田の演技はそれぐらい強固な力を感じさせる。
新名が、妻・新名楓(田中みな実)に会うためマンションにくる場面は、象徴的だった。記入した離婚届を差し出した楓に対し、新名が瞳を潤ませながら、痛切な表情を浮かべ、弱々しく「楓」と言う瞬間。
はい、きました、岩ちゃんがうるうるさせるやつ。しかも今回はまさに宇宙的な“潤み典”。
対する田中みな実も負けじと相手を見据えながら、抜群の存在感をこの空間に作り出そうとする。新名夫婦による最大の名演が、離婚によって演じられるとはなんとも皮肉な話だが。
極めつけは、昇進試験に不合格だったみちと食事をする場面。みちから離婚を報告された新名が吐息のような静かさで吐く「はい」。

10話より
そのあと、水族館で彼女にふられた新名が右頬に一筋の涙を伝わせ、泣き崩れるワンショット。新名の背景に広がる大きな水槽水が、まさにふわふわ漂う抽象的な宇宙空間のようだ。最終話放送後に岩田剛典“宇宙人説”が、有力になっていたりして。
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<文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修
俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:
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