セックスレスを苦に浮気した夫は“宇宙人”かもしれない。岩田剛典の“ヤバさ”|ドラマ『あなたがしてくれなくても』
『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系、毎週木曜日よる10時放送)で、不倫夫を演じる岩田剛典の繊細で大胆な演技には、つくづく驚かされることばかりだ。
岩田史上最大の名演がごろごろ頻出するわ、痛切な魂の表情で訴えるわで、もはやカオスな印象すらある。で、このカオス状態の中で、彼の演技を考えるとどうか。
「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、まさかの“宇宙人説”を提唱しながら、本作の岩田剛典を全力で読み解く。
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岩田剛典は途方もない。いったいどんなところが?
物語の完結が近づく『あなたがしてくれなくても』第10話を見て、改めて岩田剛典という俳優について深く考えさせられた。それで思ったのである。岩田剛典とは“宇宙的な人”だということを。
これは歌舞伎役者の五代目 坂東玉三郎の言葉に由来する。玉三郎の艶姿を捉えた恐るべき傑作ドキュメンタリー映画(実際にはドキュメンタリーとフィクションの区別がつかない)『書かれた顔』(1995年)で、インタビューに答える彼が言った。
曰く、「ひとつの空間をパッと区切られたときに、その区切られた中にパッと宇宙観を表現できる人たち。それが演劇的な人たちだと思ってます」。
「EXILE」や「三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」のパフォーマーとして踊るステージ上、俳優としてカメラの前で演じるフレームの世界など、岩田がそこに存在するだけで彼はその空間を別の次元(宇宙)に変えてしまう。
これこそ、宇宙的な人が持つ途方もない才能ではないかと思ったのだ。
第10話の具体的な場面を見てみよう。例えば、ワーキングスペースで昇進試験のための勉強を始めた吉野みち(奈緒)と新名誠(岩田剛典)の帰り道。歩道橋を歩くふたりを手持ちカメラが正面からじりじり捉える。
割と長いワンショット中、新名の視線は終始みちに向けられている。その間、岩田の視線がぶれることは絶対にない。
新名の冷めない気持ちが持続していることを表現しているのだが、それと同時に(いやそれ以上に)岩田のこの揺るぎなく、狂おしいまでの視線の強さに驚く。
歩道橋という限られた場所を一瞬で何か別の空間に変えてしまう。視聴者の視線はすぐさまで釘付けになる。これが彼の演技を見る者の心を強く打つ理由ではないか。
“宇宙的な人”が持つ途方もない才能
見る者の心を強く打つ理由
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