元プロ野球選手を父に持つ山田裕貴。父を思う涙にみる俳優としての“底知れぬ魅力”とは
いい役柄を得て、演技が上手ければ、その俳優は魅力的に映るのだろうか。いや、それだけではない。
当然ながら、その人自身が魅力的な人間性をにじませている必要がある。その点、山田裕貴は、演じる役柄にも本人にも興味深いもをたくさん持っている。
「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、どんどん興味が湧いてくると感じる山田裕貴の魅力を解説する。
久しぶりにテレビドラマの主人公で魅力的な人物を見つけた。その人は、オーナーから店を任される人気カリスマ美容師。貧しかった頃、ひとりで育て上げた弟がいる。その弟は、グレた挙げ句に警察のやっかいになる。兄は、ただただ大切な弟に裏切られたと感じている。
『ペンディングトレイン』の萱島直哉(山田裕貴)は、ざっとこんな過去を持つ人物だ。ある朝、乗車した電車が、突如未来へワープしてしまったことから、直哉の日常は、一変する。荒廃した世界で、エゴ剝き出しの乗客たちとサバイバル生活を余儀なくされるからだ。
単独行動が好きな直哉は、正義感にあふれ、リーダーシップをとる消防士・白浜優斗(赤楚衛二)と馬が合わない。他者と共生するうち、彼は、自分が抱える過去の葛藤と向き合うことになる。
もちろん簡単な話ではない。でもだからこそ、葛藤し、もがく直哉の姿は、人一倍魅力的に映る。
第6話、直哉は、焚き火を囲む仲間たちにこんなことを言う。
「俺は何にも期待しない。そう決めてるの」
ひどい頑固者で、自分で自分をがんじがらめにしている。なんて不器用な人なんだろう。最初は相手にもしていなかったのに、いつかしかほのかに心を寄せるようになる畑野紗枝(上白石萌歌)には、素直じゃないと言われる。
第7話、サバイバル世界に嵐の雨が降りしきる中、直哉と紗枝は、手製の草屋根で雨宿りする。好きな相手だから、ぶるぶるふるえる紗枝に自分のコートを貸してあげようとするのだが、やっぱり素直にできない。なんやかんやといらないことを言ってしまう。
それですこし言い合いになり、過去の葛藤がぐっとせり上がってくる直哉が言う。
「それが逃げてる? それが俺なんだよ」
どこまでも素直じゃない。でもこの言葉は、彼の真実の叫びだ。こんながんじがらめキャラだが、その分、彼が行動に移したときにはきっとすごいことになる。直哉には、そう感じさせる力強さがある。
人一倍魅力的に映る姿
素直じゃないが、力強いキャラクター
第6話、直哉は、焚き火を囲む仲間たちにこんなことを言う。
「俺は何にも期待しない。そう決めてるの」
ひどい頑固者で、自分で自分をがんじがらめにしている。なんて不器用な人なんだろう。最初は相手にもしていなかったのに、いつかしかほのかに心を寄せるようになる畑野紗枝(上白石萌歌)には、素直じゃないと言われる。
第7話、サバイバル世界に嵐の雨が降りしきる中、直哉と紗枝は、手製の草屋根で雨宿りする。好きな相手だから、ぶるぶるふるえる紗枝に自分のコートを貸してあげようとするのだが、やっぱり素直にできない。なんやかんやといらないことを言ってしまう。
それですこし言い合いになり、過去の葛藤がぐっとせり上がってくる直哉が言う。
「それが逃げてる? それが俺なんだよ」
どこまでも素直じゃない。でもこの言葉は、彼の真実の叫びだ。こんながんじがらめキャラだが、その分、彼が行動に移したときにはきっとすごいことになる。直哉には、そう感じさせる力強さがある。
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