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元プロ野球選手を父に持つ山田裕貴。父を思う涙にみる俳優としての“底知れぬ魅力”とは

山田裕貴にどんどん興味が湧いてくる場面

『ペンディングトレイン』より© TBS 萱島直哉のこうした魅力、理由は、本作の脚本家である金子ありさのキャラクター造形にある。  ゴールデンプライム帯連ドラ初主演の山田裕貴が演じる役柄だ。山田を大舞台に立たせるため、脚本家としての相当な力の入れようと試行錯誤を感じる。  創造されたキャラクターは、一貫した葛藤を持ち、シンプルで線的な性格。エモーションが高まることでこの性格設定が強調され、すごく鮮やかに映る。  いい脚本を得た山田は、いい演技で応じる。それどころか、百人力で、唯一無二の魅力をにじませている。どの場面でも役柄を深く理解した複雑な心情を浮かび上がらせているが、特に第5話は、素晴らしかった。  全員で力を合わせ、創意工夫のすえに露天風呂を完成させる。乗客たちが順番に汗を流したあと、直哉は、星空を眺めながら、お湯に浸かる。意外とロマンチストでもある。  山田裕貴が入浴する。単なるサービスショットかと思いきや、どっこい、全然違う。風呂の水面に反射した月明りに照らされ、うっすら縁取られる星夜の表情に息を呑む。  なんだろ、この麗しさ。山田裕貴という俳優になんだかどんどん興味が湧いてくる。すごく不思議な場面だった。

父親は元プロ野球選手

 山田裕貴について、もっと知りたい。そう思った筆者は山田についていろいろと調べてみた。すると興味深い写真が見つかった。野球のユニフォームに身をつつんだ姿だ。  2018年8月10日、山田は、中日ドラゴンズ対東京ヤクルトスワローズ戦の始球式に登場した。今まさに投球しようとするフォームを見て、素直に驚いた。73キロの球速を記録した彼が、小学生時代には、リトルリーグに所属する野球少年だったとは、まったく知らなかった。  しかも父親が、ドラフト4位指名で中日に入団し、広島カープでも活躍した山田和利だというのだから、なおさらのこと。こんなポテンシャルまで備えていたのか。いやはや、山田裕貴、恐るべし!
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人間・山田裕貴のこらえ涙
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