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ママ友づきあいに悩んで酒に依存する女性も…「男尊女卑の日本社会」が根本原因といえるワケ

依存症は“否認の病”

斉藤章佳氏

斉藤章佳氏

 依存症の原因は複合的な要因による場合が多いため、一朝一夕に事態が好転するものとは言えません。ただ「依存症になったことが結果として問題解決への第一歩となることもある」と斉藤さんは話します。 「大抵の人は、『生きづらさ』を感じているだけでは問題解決に向かいません。しかし、依存症としてわかりやすく目に見える問題が生じることで、周囲は異変に気付きやすいし、本人もやめざるを得ない状況に追い込まれていく。そういった意味で依存症は、専門機関へ相談するためのパスポートのような役割を果たすものと言えるでしょう」  一方で、当事者が症状を隠そうとする傾向もあるといいます。 「依存症は『否認の病』とも言われています。そのため周りから指摘されたり、受診を勧められると反発や抵抗感を感じてしまい心を閉ざしてしまいがちという側面もあります。  大切なことは、本人自らが依存症であると認めやすい安全な環境を、周囲が作ることだと思います。特に男性は『助けを求めるのは男らしくない』『弱音を吐くやつは男じゃない』という考えに囚われていたり、自分自身について話をすることに抵抗を感じる傾向にあるので、依存症であることを自覚するのに時間がかかることが多いです。  とはいえ、こうしたハードルは考え方次第で乗り越えられるものでもあります。自助グループ(同じ依存症の人たちが、匿名で自身の体験や抱える問題を語り合う集まり)などに参加し、『自らの失敗談や恥ずかしい正直な話をオープンにすることで、参加している仲間のエンパワメントになる』ということを学習できれば、事態は好転に向かうでしょう」 <取材・文/すがはらS> 【斉藤章佳】 大船榎本クリニック精神保健福祉部長(精神保健福祉士/社会福祉士)。大卒後、アジア最大規模といわれる依存症施設である榎本クリニックにソーシャルワーカーとして、約20年に渡りアルコール依存症を中心にギャンブル・薬物・摂食障害・性犯罪・児童虐待・DV・クレプトマニアなど様々なアディクション問題に携わる。その後、2020年4月から現職。近著に『男尊女卑依存症社会』(亜紀書房)『盗撮をやめられない男たち』(扶桑社)等
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