実は本作、放送前から物議を醸していました。それは公式サイトに記載されたキャッチコピーの中の「
“オトナ初心者”の18歳未婚の妊婦とアラフォーにして恋愛素人の独身“オトナ未満女子”」というフレーズが原因です。
オトナの定義が、恋愛・結婚の経験や子どもを産むか否かによって定義されるものなのか?! と思わせてしまう表現が、炎上を招く事態に繋がったのでしょう(現在公式サイトの文言は変更されています)。子なしアラフォー女の筆者としても少々心がざわつく文言ではありましたが、
それだけ本作のテーマを言葉で説明するのは難しいのだと思います。
女性も男性も、生き方が多様になったいまの時代。仕事に夢、結婚、出産など
人生における選択肢はあまりに多く、逆に生きづらさを感じることもあるはずです。どの年齢であっても、迷いながら、失敗しながら、幸せになろうと懸命に選択している私たち。正解がなく、人によって価値観も幸せのかたちも違うからこそ、リアルに生きる18歳と40歳の悩みを織り交ぜながら描くのはとても複雑で困難な挑戦です。
ふたりの葛藤を、楽観も悲観も、一方的に断ずることもしない
しかし第1話・第2話を観て、この作品は多様性の時代を生きる私たちに寄り添ってくれていると感じました。成人年齢が引き下げられ大人として扱われるようになった18歳の有栖にも、仕事での成功を手にするために恋愛や結婚を後回しにしてきた40歳の瞳子にも、それぞれに共感できるところがあります。
ふたりが直面する悩みや葛藤は、誰にでも起こりうること。本作はそれらを悲観的にも、楽観的にも、断定的にも描いていません。丁寧に描いているのは、困難に立ち向かおうとする主人公たちの、人と人との繋がり。誰かと出会い、絆を育む。誰かに支えられ、支えになっているからこそ、きっと人は前に進むことができるのです。
「あなたはひとりではない」と伝えてくれている。観る人に寄り添い、勇気を与えてくれる作品になる気がしてなりません。
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7月25日放送の第3話では、いよいよ有栖と瞳子の共同生活がはじまります。年齢も価値観も違うふたりが、どのように関係を紡いでいくのか。ますます目が離せません。
<文/鈴木まこと(tricle.llc)>
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日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:
@makoto12130201