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『どうする家康』“キャラ変更”に落胆の声「『麒麟』の感動を返して~!」。ムロツヨシ/佐々木蔵之介が同じ秀吉役だが

「真田か……確かに、ありゃあ厄介(やっかい)じゃ」という台詞が大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)の第30回にあった。その時全国の大河ウォッチャーは一斉に『真田丸』(16年 脚本:三谷幸喜)のパッパこと真田昌幸(草刈正雄)のことを思い出したであろう。
(画像:草刈正雄オフィシャルブログ 2016年5月13日投稿より)

(画像:草刈正雄オフィシャルブログ 2016年5月13日投稿より)

絶大に支持された草刈正雄の真田昌幸

7年前、三谷幸喜が描いた真田昌幸は、すぐ手のひらを返すちゃっかりしたキャラクターで、草刈正雄のチャーミングさと相まって憎めず、むしろ愛らしく、絶大に支持された。これで真田といえば真田幸村(信繁)というこれまでの認識が、真田といえば、幸村(信繁)の父・昌幸と印象づけられた。歴史が塗り替えられた瞬間といっても過言ではない(大げさ)。 だからこそ「真田か……確かに、ありゃあ厄介じゃ」という台詞(発したのは鳥居彦右衛門〈音尾琢真〉)を聞くと、これまでまったく『どうする家康』に出て来ていない真田とはいえ、登場人物と同じように「厄介」の共通イメージを持つことができる。戦国時代、生き残るためには、義理や人情など関係ない、裏切り結構、どちらに付くのが有利か見極めて、迅速に動くことが大事だと示してくれたのが、『真田丸』の昌幸だった。

「本能寺の変」や明智光秀など人や出来事を比較できる、歴史ドラマの楽しさ

このように、歴史ドラマのいいところは、過去作品の記憶が積み重なって、アーカイブされることである。みんなが知ってる「あの人」の「あの出来事」をリフレインして楽しむのが歴史ドラマの楽しさ。 代表的な歴史イベントに、「本能寺の変」がある。どんな織田信長が、どんな本能寺の変が描かれるか、比較して楽しむのだ。『どうする家康』で描かれた「伊賀越え」も歴史好きには重要な出来事で、『真田丸』でおもしろく描かれて以来、期待され、『家康』では1話丸々使って描かれ好評を博した。 期待の「あの人」「あの出来事」は、いつも同じではなく新機軸も求められる。『麒麟がくる』(19年)の明智光秀像がそうだった。それまで信長を裏切った人物というイメージのあった光秀を、真面目で優秀な人物として描き、知的で誠実なイメージのある長谷川博己が演じたことで、ぐっと印象が変わった。そのため、『どうする家康』では酒向芳が、ずる賢く陰険(いんけん)な光秀を演じると、こんなの光秀じゃないと落胆の声がSNSに溢れた。
NHK大河ドラマ「麒麟がくる 」オリジナル・サウンドトラック Vol.1

NHK大河ドラマ「麒麟がくる 」オリジナル・サウンドトラック Vol.1

明智”長谷川“光秀以前は、大概、こんなイメージだったでしょ、と思うし、2作続けて、同じような光秀でも面白くないだろうとも思うが、明智”長谷川“光秀が小さな家康に干し柿をあげる優しさにきゅんとなった視聴者としては、あの干し柿の感動を返して~となってしまうのだろう。一旦アップデートされたものをまた元に戻すことには大河ファンは意外と手厳しいのである。
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有村架純/菜々緒、ムロツヨシ/佐々木蔵之介が同じ役
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