――本田がひとみたちを理想の家族だというシーンがあるとお話がありましたが、蓮佛さんの憧れの女性像はありますか？ 蓮佛「パッと浮かんだのはしなやかな人ですね。年齢や経験値を重ねていくと、仕事や人間観、いろんなことがわかってきて、良くも悪くも、生き方が固まってくると思うんです。 それが、時としてすごく心地よくもあり、でも変化やイレギュラーなことが起こったときは、それはそれで受け入れられる人でいたいというか。突っぱねたりしないで、物事をしなやかに受け止められる人がいいですよね」 ――若い頃は、理想とされるものも違いましたか？ 蓮佛「10代、20代前半の頃は、自分の中でいろんなものが定まってなかったので。だから当時は自分の核がある人に強烈に惹かれるものはありました。今はそれにプラスαされた人が理想、というイメージですね。 変化もいとわない強さ。しなやかであれば、何かあっても折れないと思うんです」 ――理想の女性になるためにこだわってやっていらっしゃることはありますか。 蓮佛「自分との対話ですね。自分が何をしたいのか、何が好きなのか、何が嫌なのか、それがどうして嫌なのか。自分の中で腑に落ちないことや、心に引っかかったことがあったら、なるべくそのままにしておかないようにしています。 自分を知ることは相手と関わっていく上ですごく大事なことだと思うから、自分を知って、自分と対話していくことで、受け入れられる余白も生まれると思うんですよね。それがしなやかさに繋がるのかなって。私も模索中ですけど、しなやかな余白を作るために、自分と向き合うのが大事なのかなと今は思っています」 ――公式サイトでは「観る人によって後味が変わる」とコメントしてらっしゃいましたが、蓮佛さんご自身はどんな後味を感じられましたか。 蓮佛「撮影中は全く気づかなかったんですけど、完成したものを見て、『こんなに表情が印象に残る映画ってなかなかないな』と思いました。 もちろん、自分が出演している分、冷静に見られていないところもあるんですけど、私は窪田さんの表情に完全に心を持っていかれましたね。 寄りのタイミングとかも、ここ！というところで表情の一つ一つ全てに意味があるというか。マイホームを手に入れて嬉しい顔、何かおかしいなと気がついて恐怖におののく顔とか、いろんな顔が見られます。それは窪田さんに限らずみんななんですけど、人間の本質は結局は顔に出るんだな、と思いました。それは個人的には発見というか。表情が強く残りましたね」 ＜取材・文／ふくだりょうこ　撮影／梁瀬玉実＞