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「抗がん剤って本当に意味あるの!?」私の問いに医師は…。乳がん宣告を受けた私の”大きな不安”

納得するまで説明しようとしてくれる先生

手術の説明書や、面談票

手術の説明書や、面談票

 しかも抗がん剤は、約半年かけて行う治療。怖すぎるので根掘り葉掘り、先生を質問攻めにして説明を聞きました。その結果、私なりに解釈すると「身体にがん用の除草剤を撒く」ということに近いのかなという印象でした。  私のおっぱいにできたがん細胞が、リンパ節を通って全身にバラまかれている。それを抗がん剤で根絶やしにする、というイメージです。  それは繁殖力の強い雑草が抜いても抜いてもどんどん庭に広がっていくのを食い止めるために、いったん庭に除草剤を撒いて、すべての草を根絶やしにする。という行為にとても似ていると思ったのです。  抗がん剤で髪が抜けるのは、とても強い薬であるからこそ、がんを攻撃するついでに、構造が似ている髪の毛も一緒に攻撃してしまうからだそうです。  さらには免疫力もかなり落ちるし、やっぱりなかなかハードな治療法。半年間もの期間、副作用が強い薬に自分が耐えられるのか不安でたまらなくなりました。  もし抗がん剤をしなかったらどうなるのか、データ上はどうなのか、抗がん剤をした人としなかった人とで、どれくらい再発の差があるのか、など矢継ぎ早に質問し、ほんとうにどうしても抗がん剤が必要なのか先生に詰め寄る私。  患者さんで混みあう待合室、あまり長い時間はとれません。先生は不安がるわたしにゆっくり対応してくれようと「今は次の患者さんがいるのでゆっくり説明できないけれど、夕方まで待ってくれたら時間を取って納得がいくまで説明しますよ」と言ってくれました。

ついに決断「やってやろうじゃないの」

病院の待合 忙しいのに、わざわざ時間を取って納得いくまで話をしてくれるという先生のお言葉に甘えて、夕方まで待ち、改めて手術について、抗がん剤について詳しく話を聞きました。  先生はわたしの不安を真摯に受け止めてくれつつも、何度聞いてもやはり「強く勧める」というスタンスは変わりません。  基本的にすべての治療は、本人の選択と同意がないと行えないため「強くお勧めする」という言い方でしたが「この先生がここまで熱心に説明してくれるということは、私にはこの治療が必要なんだ」と思うようになりました。  きっと普通なら、夕方に時間をとってまで対応してくれる先生なんていないいと思いましたし、こんなに優しくて親切で、患者に寄り添ってくれる先生が、そこまで言うならやるっきゃない。  長い時間話をして、私の心が決まりました。やってやろうじゃないの。  私の右胸にあるがんをバシっと切り取って、抗がん剤とやらをぶち込んで、身体からがん細胞を一掃してやろうじゃないの! と、メラメラとした気持ちが湧き上がってきました。  きっと乳がんハイ? アドレナリンがドバドバ出ていたと思います。ハラが決まったところで、あとは手術を待つのみ。がん患者が多いのでベッドが空き次第、案内の電話がかかってくるとのこと。  手術が迫っているのに、日にちが分からない。ドキドキしながら電話を待つ日々が続きました……。 <文/塩辛いか乃 監修/石田二郎(医療法人永仁会 Seeds Clinic 新宿三丁目)>
塩辛いか乃
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako 連載「乳がんドタバタ日記」Kindleで発売中!
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