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新居を買ったのに婚約者に振られてしまった男の表情が…36歳俳優の“慰めたくなる魅力”|ドラマ『いちばんすきな花』

 毎週木曜日よる10時から放送されている『いちばんすきな花』(フジテレビ)に出演する松下洸平に癒やされて、癒やされて困ってしまう。
木曜劇場『いちばんすきな花』第2話より ©︎フジテレビ

木曜劇場『いちばんすきな花』第2話より ©︎フジテレビ

 でも、よーく松下の演技を観察していると、その癒やし方にはプロの“約束事”が隠されていることがわかる。 「イケメンと映画」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、松下洸平による愛の物語を紐解く。

合いの手のようなドラマ鑑賞体験

木曜劇場『いちばんすきな花』第2話より ©︎フジテレビ

1話より

 こういう「ぼく」が似合うキャラクターを演じる松下洸平は抜群にいい。「男女の友情は成立するのか問題」をテーマにするドラマ『いちばんすきな花』で松下は、新居購入後に突然婚約者に振られてしまった生真面目な男・春木椿を好演している。  本当なら熱演と言いたいが、あまりエモーショナルになりすぎないように、きっちり抑制するという意味での好演だ。ちょっとした仕草や挙動不審な動作が可愛い。でも真面目さもここまでくると相手には息苦しいのかもしれない。 「ぼく、振られちゃった…」と言わんばかりの表情で視聴者に訴える。こちらは、「ああ、ぼく振られちゃったね」と慰めたくなる。松下と視聴者が感情を共有する合いの手のようなドラマ鑑賞体験がここにある。

ストーリーとは別次元での“松下洸平物語”

木曜劇場『いちばんすきな花』第2話より ©︎フジテレビ

2話より(以下、同じ)

 この体験では、何より松下と視聴者の間に確かな信頼関係ができていることを大前提にしている。松下の演技は、とにかく丁寧で、視聴者を物語の中へ優しく、スムースに導く。  それはまず松下が特に感情表現に優れた俳優だからだ。キャラクターの理解とそれを元にした台詞の細やかな発し方など、ミリ単位の工夫が施こされている。そのため視聴者は安心して心地よく見ていられる。  ときにうねるような感情の発火点を演技のめりはりとして用意することも忘れない。例えば第1話では、婚約者に振られ、意気消沈する椿がソファでふて寝し、チャイムが鳴ると飛び起きる緩急が絶妙だ。  こうした演技の細部を視聴者との約束事としてひとつひとつ積み上げた結果、ドラマのストーリーとは別次元で、言わば“松下洸平物語”が成立し、物語られることになるのだ。
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