不妊治療ブログ主が帝王切開で産んだら「無理に産んだから」「障害は母親の責任」読者たちが手のひら返し
もちろんそれも、ブログで説明してきたことだった。だからそれらのコメントはほぼ、自然なお産を本当に信じているというよりも、真由子さんを妬(ねた)み、貶(おとし)めたいためだけの主張である。そもそも、彼女らの文脈に照らし合わせると“自然じゃない”はずの不妊治療のときは、みんなで励ましあっていたのだ。。
そして無自覚に「障害は母親の責任」とも言っており、子どもに何かよからぬことが起こると、すべて母親の責任にされてしまいがちなこの世の中の表れでもあるだろう。
「入院中も、ありましたね。何カ月も管理入院で病院のベッドから動けないので、いろいろな友だちがお見舞いに来てくれるんですよ。するとひとりの男友だちがこういったんです。『妊娠出産は病気じゃないのにね(笑)』『帝王切開で産むんだって? 大丈夫? お腹を痛めて産まないと、子どもに愛情わかないんじゃない』
……絶句しました。え、病気だよ? がんの妊婦だから管理入院してるんですけど? 出産後、連絡はとらず縁を切りました」
テンプレそのまんまと言える、フレーズである。
何かの漫画にでも出てきたのを覚えていたか、親がそういう類のことを言う人だった可能性が高いだろう。
「でも出産後、彼を除くほとんどの友人たちは『病気を抱えながら、よく産んだ!』と大喜びしてくれました。一方、顔が見えないブログの読者は言いたい放題です。
暴言吐いていた常連読者たちは、子どもが生まれてからもだいぶ長いあいだコメント欄に居座って、紙オムツじゃないからどうとかミルクがどうとか、逐一(ちくいち)ケチをつけていましたね。あんなに『応援してます!』とか言っていた口で……と萎(な)えて、怒る気も沸きませんでした。でも私のことは何を言われても別にいいけど、いまでも子どもの悪口だけは許せません」
さらに育児がはじまると、身近でも“自然じゃない”ことを批判される出来事に、たびたび遭遇した。
「これは従妹の話なんですが、母乳が出ず粉ミルク育児だったんですよ。するとお約束のように、母乳信者の親戚が大騒ぎ。母乳は完全栄養食! 粉ミルク育ちの子は体が弱くなるし、目の輝きが何か違うのよねえ~ですって」
「母乳は完全栄養食」はかつてあった定番フレーズだが、実際には粉ミルクよりもビタミンDが不足することが指摘されている(もちろん母乳ならではのメリットもたくさんある)。しかしたとえそれを伝えたとしても「手間暇かけるのが愛情」という神話であるため、栄養云々ではなく「便利なもの」がダメなのだ。
まったく見知らぬ人から、ベビーカーも非難されたこともある。真由子さんが子どもの手術のため、飛行機で病院へ向かおうとしていたときのことだ。
そして無自覚に「障害は母親の責任」とも言っており、子どもに何かよからぬことが起こると、すべて母親の責任にされてしまいがちなこの世の中の表れでもあるだろう。
「入院中も、ありましたね。何カ月も管理入院で病院のベッドから動けないので、いろいろな友だちがお見舞いに来てくれるんですよ。するとひとりの男友だちがこういったんです。『妊娠出産は病気じゃないのにね(笑)』『帝王切開で産むんだって? 大丈夫? お腹を痛めて産まないと、子どもに愛情わかないんじゃない』
……絶句しました。え、病気だよ? がんの妊婦だから管理入院してるんですけど? 出産後、連絡はとらず縁を切りました」
テンプレそのまんまと言える、フレーズである。
他人の育児に口を出す人々
粉ミルク、ベビーカーは便利だからダメ?
「母乳は完全栄養食」はかつてあった定番フレーズだが、実際には粉ミルクよりもビタミンDが不足することが指摘されている(もちろん母乳ならではのメリットもたくさんある)。しかしたとえそれを伝えたとしても「手間暇かけるのが愛情」という神話であるため、栄養云々ではなく「便利なもの」がダメなのだ。
まったく見知らぬ人から、ベビーカーも非難されたこともある。真由子さんが子どもの手術のため、飛行機で病院へ向かおうとしていたときのことだ。
自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。「女子SPA!」のお問い合わせフォームより、題名に「沼の話」と入れて、ぜひお気軽にご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。


