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不妊治療ブログ主が帝王切開で産んだら「無理に産んだから」「障害は母親の責任」読者たちが手のひら返し

エスニックな服装の、30代くらいの女性が、突然ツカツカッと近づいてきた。 自然な妊娠出産沼202311え、誰だろ。驚く真由子さんに、女性は、 「呆れます! そんな大きな子、どうして歩かせないんですか? 親の便利さを優先してるんですか!」 と言い放った。

「自然」を選べない人もいる

「何年もかけて準備してきた手術も、子ども本人が熱を出すと受けられなくなるんで、手術入院で病院に向かうときは体力温存のためベビーカーに乗せていたんですよね。5歳くらいまでかな。 たしかにうちの子は、見た目には障害があるってわからない。でも普通、何か事情があるって想像できません? 自然で健康な日常を楽しめる恵まれた人たちが、どうしてわざわざ私たちを攻撃してくるのか。攻撃のための“自然信仰”に、本当に迷惑しています」 真由子さんを批判してきた人たちの多くは、自然であることにこだわっているのではなく、自分が気に入らないのでケチをつけたいだけの、単なる八つ当たりなのだろう。

無痛分娩で失うもの、とは

しかし世の中にある「妊娠出産育児は自然であるべき」という言説が、攻撃材料につながっていることは見逃せない。 自然な妊娠出産沼202311「自然を選べない人を見つけて、マウントの材料にしないでほしい。無痛分娩で失うもの? うちの場合は普通分娩していたら、親子で死んでますけど?」 真由子さんの怒りは、もっともである。冒頭のシンポジウム全体は、こうした出来事を助長するような講演ばかりでなかったようであるのが、まだ救いだろうか。 そして、真由子さんを「“自然じゃない”=帝王切開」と攻撃した人たちはいま、納得のいく妊娠出産をしているだろうか。自分の言葉にとらわれて「自然なお産」の沼に落ちていないといいのだが。 <取材・文/山田ノジル>
山田ノジル
自然派、○○ヒーリング、マルチ商法、フェムケア、妊活、〇〇育児。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のない謎物件をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。twitter:@YamadaNojiru
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自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。「女子SPA!」のお問い合わせフォームより、題名に「沼の話」と入れて、ぜひお気軽にご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。
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