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結婚して会わなくなった男友達とバッタリ。別れ際の“一言”が切なくも最高|ドラマ『いちばんすきな花』

多部未華子が最高だなと思う瞬間

 峰子がトイレに行く。ゆくえと鼓太郎が陳列棚の前でふたりになる。するとゆくえがおどけて見せて、鼓太郎も安心したように反応する。毎日のようにカラオケで駄弁っていた頃の雰囲気がすぐに戻って来る。  調子をつかんだ鼓太郎が、「カラオケ行く?」とつい発してしまう瞬間には、何だか息が詰まるような思いがする。峰子が帰って来るからと言って、ふたりは何事もなかったかのように別々になる。  するとゆくえが振り返り、何を言い出すかと思えば、妻からの呼び名である「こた君」と呼びかけ再びおどける。でもちょっと切ないゆくえの表情がいい。ああ、やっぱり振り返る瞬間の多部未華子は最高だなと思いながら、このサスペンスフルな場面は締めくくられる。

生き物としてのマグカップ

木曜劇場『いちばんすきな花』5話より© フジテレビ ゆくえが雑貨屋で買ったのは、マグカップ。自分のためのひとつではない。椿と夜々と紅葉の分も合わせた4つ。ゆくえはこのマグカップについて鼓太郎にこう言う。「おそろ、いろち」。  とても短いフレーズだが、あの4人が使うことを考えると的確ではないだろうか。さらにゆくえの実感がこもった短縮表現によって、単なる物としてのマグカップではなく、生き物としてのマグカップのように思えてくる。  もしこれが「おそろ」だけなら、どこにでもいる仲良しグループ用だったろう。「いろち」であることで、それぞれの個性の違いを認め合う関係性であることが、マグカップひとつから描かれるのだ。
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「男女の間に友情は成立するのか?」問題
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いちばんすきな花 シナリオブック 完全版(上)

「男女の間に、友情は成立しますか?」フジテレビ系木曜10時ドラマに共感の声が続々! SNSで話題沸騰! いちばん「語りたくなるドラマ」のシナリオブック完全版。多部未華子、松下洸平、今田美桜、神尾楓珠 主演!『silent』の村瀬健プロデューサー×脚本・生方美久が“クアトロ主演”という新しいスタイルで描く、年齢も性別も過ごした環境も違う4人の友情と愛情の物語。


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