
翌日からはいよいよリハビリが始まります。
乳がんの全摘手術をした後にきちんとリハビリをしないと、腕が上がりにくくなってしまうそうで「リハビリは必須」と言われていました。
痛いのは大嫌いなわたしでしたが、わたしにはリハビリを頑張らなくてはならない大きな理由があったのです。
わたしは10年以上前からフラメンコをやっていて、数か月後に発表会も控えていました。大好きなフラメンコを絶対に続け、そして発表会に出るという思いが強くて、痛くたってリハビリを頑張って、元通りに腕が上がるようにすると決意していました。
フラメンコの先生の紹介で、乳がんを経験したフラメンコダンサーの方を紹介してもらい、話を聞きました。その方は「とにかく毎日リハビリ頑張れば、腕はちゃんと上がるし、元通りに踊れるから頑張って!」と励ましてくれました。
実際に彼女は今もフラメンコを踊っているし、実際に経験した方の話を聞くと、本当に勇気がもらえます。
リハビリはお昼すぎからスタート。乳がんの手術を終えた患者たちが病棟の廊下に集まって、看護師さんの指導のもと、みんなで少しずつ壁に指を這わせ、少しずつ手を上に上げていく練習をします。
ですが、まだ術後2日目。やっと歩けるようになった程度で、さらに超痛がり怖がりのわたしは、裂けそうな傷口をのばすなんて、怖くて仕方がありませんでした。
周りを見回すと、ふと、同年代と思われる人が目に入りました。その人は、腕が見事に肩の上のまでほう上がっていて、リハビリでここまで戻るんだ!と感動するほどビシっと腕を伸ばしていました。
何日くらいで上がるようになるんだろう?と思い、その人に「リハビリは何日目ですか?」と聞くと、ちょうど術後1週間目とのこと。ほかの人は、ここまで腕が上がっていません。
わたしが目指すのは「元通りにあがる腕」。彼女を目標に頑張ろうと思い、どうやったらこんなに上がるのかインタビュー。