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乳がん入院中、看護師さんに怒りが湧いてしまった瞬間。“がん友”に励まされ

センパイ患者をナンパしてみた

 すると、こともなげに「痛いけど、まぁ大丈夫かなって思ってエイッと、グイッとやってたらできちゃった」と言うのです。わたしが裂けそうで怖いと言うと「とりあえず私は裂けなかったから大丈夫じゃない?」とあっけらかんとした答えが返ってきて、思わず笑ってしまいました。  このアッサリと男前な雰囲気がたまらなく面白くて、もう少し彼女と話したい! と思い、この後少しお話しできないかな? と誘ってみました。病院内ナンパです(笑)。  彼女にも快諾をもらい、レインボーブリッジが見える夜景のキレイな病院の休憩室で、お茶を持ちより、どこから来たか、趣味は何か、など話に花が咲きます。  彼女はゴスペルをやっているそうで、わたしも以前、ゴスペルサークルに行っていたことがあったのでさらに大盛り上がり。  わたしはフラメンコをやっていて、数か月後の発表会に出るのが目標だというと「素敵! 絶対に観に行くから頑張って!」と応援してくれました。  入院中なのにパジャマパーティーさながら、手術の痛みも忘れてあれこれ語り合い、あっという間に消灯時間。あまりに楽しいひとときで、病気になるのも悪くないなと思ってしまうほど。

かげがえのない“がん友”に

談笑する二人の女性 全摘手術をし、リンパも切除したという彼女とは、がんの大きさや状況が似ていました。治療方針も抗がん剤もほぼ決定しているとのこと。これから始まる長い治療も一緒に頑張ろうね、と話し合いました。  彼女は1週間前に手術したので2日後には退院してしまいますが、わたしはあと1週間ほどある入院生活。彼女が先に退院して寂しくはありましたが、まずはこの新しくできた友人を目標に、腕のリハビリをバッチリやるぞ!と気合十分です。  これが、今後の抗がん剤治療も、ともに励まし合って過ごした、かけがえのない「がん友」との忘れられない出会いの瞬間でした。 <文/塩辛いか乃 監修/石田二郎(医療法人永仁会 Seeds Clinic 新宿三丁目)>
塩辛いか乃
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako 連載「乳がんドタバタ日記」Kindleで発売中!
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