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NHK『大奥』、福士蒼汰“胤篤”と“有功”は似て非なる人物。二役っぷりが圧巻

NHK『大奥』の第17話が14日に放送され、第13代将軍徳川家定(愛希れいか)の正室として、薩摩から胤篤(福士蒼汰)が輿入れ。家定との距離を縮めていった。 これまで家定を支えてきた阿部正弘を演じ切った瀧内公美の熱演に、涙の溢れる回となったが、幕末編が終盤へと向けて加速するなか、家定、胤篤、瀧山(古川雄大)、正弘の姿を通じて、男女がともに手を取り合い、新たな道を作っていく未来を夢想させられる回でもあった。

有功を演じた福士が、胤篤役でふたたび登場

大奥(C)NHK

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むくつけき(むさくるしい)男に違いないと、皆が構えて迎えた胤篤は、それは見目麗しい、伝説のお万の方様(福士・二役)にも匹敵するのではないかと思われる美男子だった。その姿にさらに警戒し、油断ならないと心配していた瀧山だったが、日に日に元気になっていく家定を見て考えを改めていく。 シーズン1でお万の方様こと、有功を演じた福士が、胤篤役でふたたび登場。胤篤は、公家出身の僧であった有功とは違い、薩摩から、使命を帯びて送り込まれており、大奥総取締の瀧山に、将軍との添い寝のしきたりについての誤りを指摘するなど、5代将軍綱吉(仲里依紗)の際に大奥総取締となった右衛門佐(山本耕史)のような隙のない部分を持ち合わせている。 そうかと思えば祭りを見て、一緒に御輿を担ぎたいと無邪気に言い出す面もある。有功とは似て非なる人物。同じ二役でも、見た目を変えられれば、演じるのも多少は楽だろうが、それが出来ないというのは非常に難しい。だが福士は、瀧山にニッコリと強さを含んだままにほほ笑む瞳や、大奥に入り込んでいる薩摩からの隠密と会話する横顔、そして何より現(うつつ)に即して家定と正面から向き合う様などから、有功とは異なる胤篤の個性を滲ませてみせる。

家定、胤篤、瀧山、正弘の4人が共に道を作っていく未来は来ないのか

大奥(C)NHK

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そんな福士演じる胤篤と家定の会話の中でも印象的だったのが、胤篤が家定にふたりの御子を求めた場面。ここで胤篤は、「教育」が大事だと話した。第15話の感想でも触れたが、徳川は、血を継いでいくことにばかり躍起になり、「政」を伝えていくことを怠ってきた。その「政」とは「教育」と言い換えることもできるのではないだろうか。 家定の言う通り、正弘の理想を叶えるためには、将軍というのはジレンマを抱えた存在かもしれない。しかし胤篤は言う。「生まれた子に私たちが教えればいい。上様は国を、民を思う心を。私は現(うつつ)に即し、物を考える術を。その子が後継ぎならば、伊勢守様(正弘)の目指すところにも、多少は近づきやすくなりましょう」と。 さらに家定と胤篤のすぐそばには、学問をしたかった瀧山がいて、瀧山を登用した正弘が、すべての人に門戸を開こうとしている。男女逆転でも、それが逆転した世界でもなく、彼ら4人がともに手を取り合い、話し合いながら道を切り開いていく、そんな未来が待っていたならと夢想してしまう。
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男子が女子をバカにする世に
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