「大阪吉本びいき」予想に反し、他事務所に高得点では
ではいったい、彼女はどんな審査をするのでしょう。
彼女は現在はボケともツッコミとも言えない、関西女性の立ち話を再現したようなナチュラルな漫才スタイルですが、結成当時はツッコミでした。それゆえにボケ、ツッコミ、どちらのスタンスからの目線も持ち合わせています。そういう点で、審査はコンビの会話の妙(みょう)に重点を置くと考えられます。
さらに海原ともこさんの強みはトレンドを理解できる点にあります。関西の流行のスポットやファッションビルで買い物をする人気テレビ番組『やすとものどこいこ!?』(テレビ大阪)を2012年からやっており、世間の潮流を広く把握しているのが彼女の長所です。

(画像:『やすとものどこいこ!?』(テレビ大阪)公式サイトより)
若者向けのワードをパンチラインに使うタイプの漫才師は高齢の審査員にネタが通じない危険性がありますが、そこへいくと、彼女はもっとも演者とのジェネレーションギャップが少ない審査員と言えるでしょう。ワードチョイスに定評がある令和ロマンや歌ネタのダンビラムーチョは有利かもしれません。
「関西人だから大阪吉本贔屓(ひいき)の審査になるのではないか」と危惧する声もあります。
しかし、『やすとものいたって真剣です』(朝日放送)では大阪吉本のみならず、ゲストに訪れた東京吉本や他事務所芸人との交流もあり、妹のやすよさんと二人で楽しそうにトム・ブラウンの「ダメ―!」のコピーをするなど東西を分け隔(へだ)てる感覚がないようです。
むしろ養成所出身の芸人が台頭している世代にあって、当人は師匠についてお笑いを学んだ「弟子っ子」であったため、若手時代に大阪NSC生との壁を感じてトラウマを抱いており、案外他事務所に高得点をつけるのでは。
一方、YouTubeチャンネルやInstagramのコメントを閉じるほど繊細な部分もあり、よくも悪くも多方面に気を遣った採点になることも予想されます。上沼恵美子さんのような毒舌や点差を期待すると少し肩透かしに合うかもしれません。
『やすとも・友近のキメツケ』(関西テレビ)では「あくまで個人の感想です」とばかりに、人間関係などを一刀両断する舌鋒の鋭さを見せる海原ともこさん。全国ネットでも臆(おく)せず、堂々と持論に基づいた審査をしていただきたいものです。よろしこ!
<文/女子SPA!編集部>