「マルチな人間、万歳」と思えるようになったキッカケ
――まさに日本と韓国の距離感が一気に縮まった時代ですね。

翻訳戯曲賞を受賞した『トンマッコルへようこそ』(脚本:チャン・ジン 演出:東憲司)
みょんふぁ:そこから私自身も日韓交流が盛んになりました。韓流イベントの司会、日韓それぞれの戯曲の翻訳や、映画や演劇の通訳などで活動の幅がさらに広がったんです。
演劇の方では2014年に文化庁の在外研修に選ばれて、韓国国立劇団で俳優修業をし、翌年には韓国国立劇場で韓国女優デビューしました。
2016年には『代代孫孫2016』と『トンマッコルへようこそ』の二つの作品で小田島雄志・翻訳戯曲賞を受賞しています。
2021年には子供の頃からの夢だった、舞姫・崔承喜のひとり芝居『母MyMother』を『血と骨』や『焼肉ドラゴン』の鄭義信さんに書き下ろしてもらって公演を行いました。

みょんふぁさん一人芝居『母 My Mother』(作・演出:鄭義信)
――活躍ぶりが想像をはるかに超えていました。どれだけマルチなんですか。みょんふぁさん、凄い人だ……。
みょんふぁ:でも、長いこと女優という肩書きにこだわっている自分もいたんですよ。何をしていても、私の根本は女優だっていう感覚でいました。
それがある時、たまたま傍(かたわら)に居合わせた知らない韓国人のおばちゃんに「色んなことができるって最高じゃない」って言ってもらえんですよね。
その言葉をきっかけに自分の中の景色が広がっていったんです。今となっては「マルチな人間、万歳」って思ってるくらいです(笑)
――今回『ラヴィット!』に出演したことで、マルチな才能をさらに証明した結果になりましたね。

あなたの脳にちょびっとお邪魔します、ヨギソダ~イブ!
みょんふぁ:あの放送は韓国でも大きな話題になったらしく、『在日三世のみょんふぁという女優が日本にいる』と知ってもらえたようです。
実をいうと在日と韓国人って意外なほど遠い存在なんですよ。私はずっと通名を使わず本名でやってきたのですが、韓国に行くとよく『なんで日本に帰化しないの?』と聞かれるくらい、在日の人間の生き方って知られていないんです。
でも、私を通じて少しでもそれが伝わるのなら、こんなに嬉しいことはないですね。
――では、みょんふぁさんの今後の目標は?
みょんふぁ:韓国と日本を繋げられる存在として、これからも活動し続けていければと思います。
――もしかして、今後はバラエティ的な活動も視野に入れてますか?
みょんふぁ:もしかしたら、今が頑張る時なのかもしれないのですが、何をしたらいいのか私自身が今イチわかっていなくて。だから今はとりあえず謙虚に通常運転です(笑)
――ありがとうございました!
【みょんふぁ】
女優、司会、ナレーター、韓国語通訳・翻訳、プロデューサー、演技講師 大阪府大阪市出身
<取材・文/もちづき千代子 写真/林紘輝>
もちづき千代子
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:
@kyan__tama