NHK大河『光る君へ』むごい最期にSNS騒然、まひろと道長を繋ぐ“死”の真相
まひろと道長の慟哭
人はこんなにも激しく感情をむき出しにするのか。そんな道長をまひろも泣きながら抱きしめる。
説明はそんなに多くないシーンだ。だからこそ、それぞれのさまざまな気持ちを想像してしまう。
泥を握り締めて死んでいた直秀。手を縛られ、自由もきかない。本当は、遠い地へ行くはずだった。直秀の苦しみ、悔しさをつい想像してしまう。そして、道長はそんな直秀の手から泥を払い、自分が持っていた扇子を握らせる。せめてもの餞か、どちらにしても、道長の強い想いを感じる。
直秀が埋葬されるシーンでは、土の中から、まひろと道長を見つめているようなアングルだった。土がかぶせられていき、次第に視界が遮られていく。
ふたりを見守っていた直秀はもういないのだ、ということを思い知らされる。
最初は無邪気に出会ったまひろと道長。しかし、ふたりの間にあるのは「死」だ。それも、殺人。
まひろの母の死、そして直秀の死。そんな悲しい繋がりによって、ふたりが幸せになることが想像できるだろうか?
なぜ直秀たちは殺されたのか
直秀たちの最期はあまりにもむごい。
そもそも、道長は直秀を助けるために、検非違使に心づけを渡していた。直秀たちに手荒なことをしないようにと頼んでいた道長としては、予想もしていなかった展開だろう。
だからこそ、道長は直秀の死を目の当たりにしたときに、「自分のせいだ」と言う。本来、人も殺していない盗賊はそんな重い罪を課せられない。だから、獄の中にいても盗賊たちはお気楽な様子だった。鞭打ちは痛いから嫌だ、と言いつつ深刻そうにはしていない。直秀たちだって、まさか殺されるとは思っていなかったのだろう。
それが、自分が余計なことをしたせいで……。
しかし、なぜ、殺されたのか。
検非違使が東三条殿に盗みに入った者たちを処刑して藤原家に取り入ろうとしたのか? いやいや、藤原家は気に食わない、あいつらが助けろと言うなら逆のことをしてやろうと殺したのか? それとも、流罪が面倒だったのか、盗賊に対するシンプルな恨みか。
でも、どちらにせよ、命が軽く扱われている印象がある。それが何より、この時代を象徴している気がしてやるせない。
そして、直秀の死がまひろと道長の関係に暗い影を落とすことも、間違いないのだ――。
<文/ふくだりょうこ>ふくだりょうこ
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ
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