肌を重ねた夜を支えにする“35歳女優”、その相手男性の一言にモヤる理由|NHK大河ドラマ『光る君へ』第11回
父のために奮闘するまひろ
花山天皇の退位で、大きな影響を受けたのがまひろ(吉高由里子)たちだ。父・為時(岸谷五朗)は官職を失った。
為時は最初、兼家の間者の役割を果たしていたが、花山天皇から信頼を得たことで良心が痛んでいた。間者としての役割を解いてほしいと頼み、受け入れられ、喜んだのはつかの間。そのまま花山天皇の治世が続けばよかったのだが、状況は一変。兼家が摂政になってしまっては、もはや為時に復帰の芽はない。
まひろは倫子(黒木華)に父・源雅信に為時を推挙してほしいと頼むが、きっぱりと断られる。摂政の決断=天皇の決断であるため、それは難しい、と。
さらに、まひろは兼家のもとを訪れ、直談判。一度、自分に背いた者に情けはかけない、とこちらもすげない。
まひろは行動力がとんでもないのだけれど、やはりお嬢様である。向こう見ずというか、世間知らずというか……。
そんなまひろの行動を知った宣孝(佐々木蔵之介)は度胸があると褒めて笑う。そして、家計が心配ならば婿を取れば良い、と助言。北の方にこだわらなければいくらでもいる、若くて富のある男が良い、と。まひろとしては妾になるのは気が進まない……けれど、家柄的に正妻は難しい。なんだか生まれたときから人生が決まっている感じがしてなんとも難しい。
好きだけれどままならない
周辺が騒がしい中でも、どうしても互いのことを思い出してしまうまひろと道長。肌を重ねた一夜のことがふと蘇る。より想いが募るようになってしまったのかもしれない。その表情がハッとする艶がある。
形としては、まひろが道長を振ったことになるが、だからと言ってまひろが道長を嫌いになったわけではない。むしろ、好きでたまらない。
道長は従者に言伝をし、いつもの場所で再びまひろと会う。抱きすくめ、唇を重ね、「妻になってくれ」と言う道長。
まひろは「北の方にしてくれるの?」と聞き返す。
道長は黙り込んだあとに返事をする。
「北の方は無理だ」「されど、俺の心の中ではお前が一番だ」
いや、わかる。言いたいことはとてもわかる。状況的にまひろを北の方にするのは難しい。そして他に妻がいても、まひろが一番であるという道長の気持ちもわかる。
でもなんだかな……と思ってしまうのは現代人だからだろうか。
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