「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」という考え方

こんな現状から、今後もっと認知を広めるべき、国際基準の人権の概念があるという。
「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)という言葉があります。『性と生殖に関する健康と権利』と訳されます。簡単に言えば性や生殖に関すること、自分の体のことはその人のものであって、その人の性や生殖など体に関することについて決める権利は、その人自身にしかありませんよ、という概念です。
生殖に関する権利でいえば、家族計画もそう。自分は子どもを何人望むのか、望まないのか。どうやって産むのか、それを決める権利や、決めるために必要な情報を得る権利が、あらゆる人にあります。
性に関する権利は、自分がどういう性で生きていくのか、どういう人を好きになるのか、ならないのか。どんな人と性的な行為をするのか、しないのか。プライバシーを誰にどこまで開示するのかなど。自分の性のあり方すべて、自分自身で決める権利があります」
この言葉は、国や自治体の政策の中で使われるようにもなっているが、まだまだ私たちに浸透した概念とは言えないのが現状です。
一方で、シオリーヌさんは期待感も持っています。
「ひとりひとりのSRHRを尊重した周囲とのコミュニケーションや、社会作りをしていきましょう、という発信は国内でも増えてきてはいます。もっともっと理解が深まっていくといいと思います」
【
シオリーヌ(大貫詩織)】
助産師/性教育YouTuber。
株式会社Rine代表取締役。総合病院産婦人科、精神科児童思春期病棟で勤務ののち、全国の学校や企業で性教育に関する講演・イベントの講師を務める。性教育YouTuberとして性を学べる動画を配信中。著書に『
CHOICE 自分で選びとるための「性」の知識』(イースト・プレス)、『
こどもジェンダー』(ワニブックス)ほか。
<取材/鴨居理子 文/るしやま>