そんなある晩、久弥さん不在の夕食の席で娘さんに「話があるんだけど」と声をかけられたそう。
「様子が変だったので慌てて話を聞いてみたら、どうしても許せないことがあったと言うんですよ」
実は少し前に、娘さんが「お友達の家族が急に行けなくなってしまったから」とチケットを3枚もらってきたので、家族3人で野球観戦に行ってきたそうで……。

「スタジアムの座席に久弥だけが残って、私はトイレに立ち、鈴香は売店を見に行っていた時間があったんです。その時、久弥が身体を斜めにして不自然なポーズでスマホをいじっているのを遠巻きに見た鈴香が気になり、
何となくそっと後ろに回り込みその画面を覗くと、なんと風俗と思われるサイトを見ていたそうなんです」
スマホを凝視しながら女の子を吟味している久弥さんの無心の真顔にギョッとして、そのあまりの気持ち悪さにショックを受けた鈴香さんは「
こんなパパの姿を知ったらママは悲しむだろうし、私の胸の中にしまってなかったことにするのが家族のためだ」とその日からいつも通りの自分を演じてきました。
「ですが、家族3人でのレジャー中にそんなことを平気でできるパパのことがどうしても許せないと思った鈴香が『ごめんね、胸にしまっておけなくて』と私に告白してきてくれて……。私にならともかく鈴香にこんな思いをさせるなんて私だって許せないので、離婚の準備をしていることを初めて鈴香に話したんです」
すると娘さんは笑顔になり「
私もバイトするしママの好きなタイミングで離婚して。そして2人で楽しく暮らそうね」と言ってくれて、響子さんは泣きそうに。
「鈴香も私達が不仲なことは感じていて、薄々離婚の覚悟はできていたようです。するとその晩に、久弥がなぜか真っ青な顔で帰ってきたんですよ」

そして、肩を落とし明らかに落ち込んでいる雰囲気を漂わせた久弥さんが、珍しく響子さんの手を握り「やっぱり俺の味方はお前だけだよ」と見つめてきました。
「ずいぶん前にもこんなことがあったなと思い出して。その時は疑問に思い久弥のスマホを覗き見したら、不倫相手に振られたばかりだってことが分かってゾッとしたんですよね。いくら弱っているからといって、そんな時だけ甘えてくるなんて図々しすぎますよ」