やむなく危険な場所に近づく場合は“シミュレーション”を
――「死亡ピンチ」から身を守るために、意識しておくべきことはありますか?
大塚志郎さん(以下、大塚)「一番大切なのは、事前のシミュレーションですね。
危険な場所には近づかないのが鉄則ですが、避けられないシチュエーションもあると思います。漫画の例で言えば、ため池(底なし沼)です。
仲間内で『〇〇池に行こうぜ!』と盛り上がったとき、自分だけ行かないわけにはいかないケースも出てきます。
いわゆる同調圧力ですね。『危ないから行かない』と言ったら空気が悪くなってしまいます。ため池に限らず、その場のノリに合わせてついて危険な場所に行く羽目になることはあると思います。
もし、どうしても危険な場所に行くことになった場合は、事前に安全な場所を確認しておくことが重要です。たとえば(作中にも登場する)アリ地獄の溜め池の場合、池の外に出るための梯子や階段があるのでそれを事前にチェックしておきます。それから、冷たい言い方かもしれませんが、『ここで溺れても助けられないからな』と忠告しておくことも大事です。実際に助けられないですからね。
本当は近づかないことが一番良いのですが、最悪の事態をシミュレーションしておくことが大切です」
漫画でも描かれ話題になった「アリ地獄の溜め池からの脱出方法」
――漫画の中では、アリ地獄の溜め池からの脱出方法がかなり詳細に描かれていました。
大塚「セメントなどで舗装された池や川は、一度入ってしまうと脱出が困難な場合があります。本当は近づかないのが一番良いんですけどね。万が一そういう池にはまってしまった場合、脱出方法があります。脱出方法を知っておくことで、冷静に頭を切り替えることができます。
パニックになってやみくもに沼から出ようとするのではなく、まずは階段や梯子(はしご)など、出る場所を探すことが大切です。
漫画を一度読んでいただければ、『ちょっと待てよ』と冷静に梯子を探すことができます。実際のシチュエーションだと、梯子や階段を探すのは難しいかもしれませんし、見つけてもそこまで辿りつくのに勇気もいりますよね。でも、
確実に出られる場所がどこかにあると知っているだけでも助かる確率は上がりますし、冷静な判断もできると思うんです。危険な箇所を事前に察知することもできます。
そういう意味でも、この漫画に一度目を通してほしいなと思います。知っていれば助かる事例の一つだと思います」