「殿とはいつからなの?」正妻からの唐突な発言に震えが止まらない|『光る君へ』第47回
道長は何度も恋をする
周明を偲んで、大宰府に留まるという道を選ぶようにも見えたまひろ。
そんなまひろの気持ちを変えたのは乙丸の慟哭だった。
「きぬ(妻)に会いたい」「帰りたい」「まひろも一緒でないといやだ」
従者がこのようなことを言うのは、きっと考えられないことだろう。ずっとまひろのそばにいた乙丸。まひろの全てを見守ってきた。まひろがどんなやんちゃをしようとも、困った顔をしつつ、そばにいた。そんな乙丸がここまで言ったのは、このままではまひろはダメになってしまう、という思いがあったからに違いない(自分が愛する人妻に会いたいという思いももちろんあると思うが)。
乙丸の悲痛な叫びに、まひろは苦笑いをしつつも受け入れる。
京に戻ったまひろは、彰子(見上愛)に挨拶に行く。そして道長にも会ってしまう。ふたりは言葉を交わさないけれど、道長の表情が豊かで、何を思っているかがだいたい伝わってくる。まひろが無事だったことも、また会えたことも嬉しいんだろうなあ、と。
そして道長は何度もまひろに恋をしているのではないかと思うほど。秘めた恋だから、余計に、だろうか。
が、秘めていても、嫡妻にはバレるものである。
倫子(黒木華)に呼ばれたまひろ。あいさつを交わし、他愛もない昔話をしていると突然倫子が切り込む。
「殿とはいつからなの?」
「私が気づいていないとでも思っていた?」
怖い。怖すぎる。
そしてここで最終回へと続くのが、『光る君へ』なのだ。
<文/ふくだりょうこ>ふくだりょうこ
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ
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