というわけで、その後、メディカルハニーの世界にどっぷり足を踏み入れたら、それまでのはちみつ人生の次元がぐぐっと広がり、楽しみ方が、何倍にも膨らんだ。
それまでのように、いろいろな種類のはちみつを味わい分けるのも面白いけれど、不調に対する「効き目」ということを真剣に考えたら、はちみつのひとさじの食べ方、選び方にも、実はいろいろコツがあるということも段々わかってきた。

前田京子さん
で、肝心の喉のイガイガひりひりはどうなったかって?
詳しいことはあとで書くけれど、うれしさと驚きのあまり、どうしても原生林で満開のマヌカの花とハチたちの飛び交う様子が見たくなり、春のニュージーランドに自分も飛んで行ってしまったぐらいなのです。
普段の体調不良や体力作りに、はちみつが幾通りにも役に立つということを知ると、はちみつを常備しておくということは、大げさではなく、家にちょっとした薬局があることに等しいとわかる。
そして面白いことに、何の症状から入ったとしても、一度はちみつを試してその効果を体感した人が、進んで元の市販薬に戻ることは、あまりないようだ。
それはきっと、上手に使ったとき、はちみつがからだの不調を緩和するだけでなく、ほんとうの元気をくれるということを実感できるからだと思う。
まずはお気に入りのひとさじを探す旅に出てみませんか?
<文/前田京子 写真/『新装版 ひとさじのはちみつ』より>
前田京子
国際基督教大学教養学部、東京大学法学部卒業。 手作り石けん・ボディケアブームの先駆けとなった『お風呂の愉しみ』 (飛鳥新社)、 『はっか油の愉しみ』(マガジンハウス) 他、著書多数。2015年に発売した『ひとさじのはちみつ 自然がくれた家庭医薬品の知恵』は10万部のベストセラーに。持ち前の探究心から得た知見を暮らしの楽しみ方と結びつけ、そのアイデアを惜しみなく伝えている。1962年生まれ、横浜市在住。