「哲也さんに寝坊してしまったことを謝ると『それならよかったです。体調を崩して部屋で倒れていたらどうしよう? って心配していたんですよ』と優しい返事が返ってきました。
でもその時に不注意でリモコンを踏んでしまい、テレビがついて大音量で駅の雑踏音が流れたんです。そしたら『あ、今駅にいるんですね。やっぱりしっかり者の美沙さんが寝坊なんておかしいと思ったんですよ。
もしかしてこれからデートですか? 何だか無理に誘ってすみませんでした! では』って哲也さんに勘違いをされて、一方的に電話を切られてしまったんですよ」

美沙さんは「早く誤解を解かなくちゃ! どうしよう、どうしよう?!」と焦りまくり、
とりあえず嘘をついていないことを証明したいと思い、ボサボサ髪のすっぴんで部屋着姿を自撮りし哲也さんに送ったそう。
「するとすぐに哲也さんから電話が来て、『本当に今起きたんですね』と笑ってくれたのでホッとしました」
そして「
そんなに寝たならお腹空いてるんじゃないですか? これから一緒にラーメン行きましょうよ」と、無事に哲也さんの信用を取り戻し、デートも中止にならずに済みました。
「もうこれ以上待たせたら申し訳ないので、顔を洗って軽くBBクリームだけ塗って眼鏡ですっぴん隠しをして、それに合うようなラフな格好で急いで待ち合わせ場所に走りました。
哲也さんに好かれたくて、せっかくパックや化粧品に、デート服やマッサージ器具まで新調していたのに……悔しかったですが自業自得なので」
哲也さんに会うなり慌てて謝る美沙さんに、笑顔で開口一番「おはよう」と言ってくれたそう。
「そしてほぼすっぴんでスウェットのセットアップ姿の私を見た哲也さんが『
いつものクールでピシッとした美沙さんとのギャップがヤバいですね。正直すごく可愛いです』と褒めてくれたので、え、こんなんでいいの? と驚きつつ照れくさかったですね」
そのまま一緒にラーメンを楽しんだ2人は、その日を境にぐっと距離が縮まったそうで……。
「それからほどなくして哲也さんからお付き合いを申し込まれて、仲良くやっています。あの日の寝坊がいい方向に転んで本当によかったなと思います」と微笑む美沙さんなのでした。
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<文・イラスト/鈴木詩子>
鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
@skippop