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「嫁と僕のご飯の格差がすごい」罰ゲームにしか見えない“ディストピア飯”に衝撃!夫婦に直撃

外国人がタコを食べられない感覚に近い

――瑞希さんに好物はないんですか? 瑞希:決して舌がおかしいわけではなく、麺類は好きです。パスタとか。ただ、生々しいものはちょっと苦手かな。たとえば、昆虫食が苦手という人は多いですよね? それと同じで「生きている状態の魚を食べるのはグロい」「豚の丸焼きは豚の顔がそのままあるからグロい」という感覚が僕は人より敏感なんです。だから、じゃこやエビはちょっとキツいです。 そのストレスが一番かからないのが、ディストピア飯なんです。ただのブロックなら、ストレスフリーで食べられます。生き物の姿をしていない状態がうれしいというのはありますね。 ――外国人がタコを食べられないみたいな感じでしょうか? 瑞希:そう、その感覚です。ただ、ディストピア飯に使えそうな素材を夫婦で探しても、妻が提案してくる食材がいつも的外れで……。たとえば、彼女はミンチとかを持ってくるから「ディストピアに生物性タンパク質は残っていなくて人工物しかないから、肉っぽさが残っているミンチは現存してないよ」と訂正しても、向こうは呆れ顔で「もう、どうでもいい」「知らんがな」みたいな反応なんです。 ――でしょうね(笑)。そんな“世界観”を楽しむのが主目的のディストピア飯を食べる際、「おいしい」「おいしくない」の感情は生まれないんですか? 瑞希:あまりないです。そもそも、救難食糧のパッケージを見ると「比較的おいしい」という但し書きがあるんです。日本の食品業界で自社の食品のパッケージに「比較的おいしい」なんて書く食品があるのが驚きですよね(笑)。「そんな食品を食べられるんだ!」といううれしさがありますし、実際、本当においしくないです。粉っぽくて食べるのはしんどいですけど、それを僕は楽しんでいます。 ――瑞希さんにとって、食事という行為そのものがしんどいのですか? 瑞希:お風呂が苦手な人っていますよね? そんな感じです。「お風呂キャンセル界隈」という言葉がありますけど、「食事キャンセル界隈」の予備軍になっているかもしれないです。

軍事国家、未来国家……“ディストピア観”の各国の料理をつくりたい

――最後に、瑞希さんの今後の目標は? 瑞希:1月にアップしたポストの反響が良かったので、僕もモチべーションが上がっているところです。 ディストピア飯と一口に言っても、いろいろあります。エヴァンゲリオン風のペースト的なもの、缶詰や軍用レーションっぽいミリタリー飯、点滴の血液袋のようなものに入った宇宙食、そして完全に駄菓子で構成されたもの。これら4つのコンセプトで、それぞれの究極的なものをつくろうと思っています。 そうして「世界各国の料理をつくれるようになった!」的な境地へ行こうかなと。中華料理やフランス料理などではなく、各国が軍事国家、未来国家、ディストピア国家という設定です。ディストピア観に基づいた各国の料理をつくりたいと考えています。 ――中華や和風といったカテゴライズが、瑞希さんにとっては宇宙であったりエヴァであったりミリタリーであったりするわけですね。 ========== 「おもしろいポストをする人だなあ」と思って話を聞いてみたら、裏にこんな壮大な思いやコンセプトがあるなんて想像もしなかったです。  食が楽しめない人も、世の中にはたくさんいるでしょう。ならば、この食事方法も一つの選択肢?「味が楽しめないなら、設定をつくったほうが食事は楽しくなる」は、けだし名言です。  補足情報ですが、瑞希さんがディストピア飯を食べているのは毎日ではなく、およそ月に1回のペースとのことでした。 <取材・文/寺西ジャジューカ>
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