――自分の容姿がきっかけで自信が持てるようになるなんて、素晴らしいです。憧れます。
ひやニキ:やっぱり、見た目が変わると人の対応も変わるし、許される範囲も変わります。
――そういうものですか。
ひやニキ:僕自身、関わっている人には甘えさせていただくことが多いんです。「なにかをやらかしても、みんな許してくれてるなあ」と思うことが多くて。なぜそれができているかというと、結局は見た目で許されているのかも? と思うことは多いです。
――たしかに、ひやニキさんみたいな整った顔の人に頼られたら「まあ、しょうがないか」ってなるかもしれないです(笑)。

「なにかをやらかしたとしても、許してもらうことが多い」と、ひやニキさん
ひやニキ:「なにを言うかではなく、誰が言うか」という話があるじゃないですか? たとえば、メンタリストのDaiGoさんがもしもひどい見た目で配信していたら、説得力は絶対なかったろうなという気がします。
――変身したことにより、ひやニキさんに対する周囲の態度はどう変わりましたか?
ひやニキ:僕がメディアで取り上げられた後、大学時代の友人が連絡を取ってきました。最初は、誰だかわからなかったらしいです。だけど、インタビューの内容や年齢から「絶対これ、●●(ひやニキさんの本名)だよな? と思って連絡したけど間違ってたごめん」という連絡が来て。
――情報で辿っていったんですね(笑)。
ひやニキ:見た目からは絞れなかったらしくて。「でも、ビフォーの写真は見覚えがあるしなあ」と思ったみたいです。それで連絡を取ってきて「今度、大学の友だちとみんなで食事に行こう」という話になって。
見た目が変わることで、昔の人間が好意的に接してくることは多いです。そのなかで、いい人との縁を拾い直せるし、つながり直せる。それは、すごく良いメリットだと思います。もしかしたら、つけ込もうとする人が出てくる可能性もあるけど、今のところはそういったこともないです。
――容姿で良い出会いが増えるのはいいことですね。
ひやニキ:はい。自分に差し伸べられる助けだったり、自分の人生を広げてくれる良い縁をより多く掴むための一番の間口の部分って、僕は見た目だと思っています。
――変身して周りの態度が変わったことにより、「リベンジを果たした」という気持ちにはならなかったですか?
ひやニキ:ならないです。高校の頃の僕は、クラスの女子から陰湿ないじめを受けていました。今、SNSやメディアに取り上げられるなかで「お前らがいじめていた人間はこんなに変わったぞ」「彼女たちがどこに行っても俺の存在が目につくようになればいいな」と思っていたことは、たしかにあります。でも、次第にそういう感情はどこかに置いてきてしまいました。置いてきて良かったと思います。
僕、2021年に家族のなかで一番好きだった祖母を亡くしたんです。その祖母が亡くなるまで「離れて暮らしている自分がどんなふうに活躍しているか、ばあちゃんに届けばいいな」という思いのほうが強かったですね。亡くなった後は遺影を飾り、毎日手を合わせています。