
赤ちゃん抱っこが大好きだった
やがて、りんくんは動くことも鳴くこともしなくなり、下顎呼吸に。祖父母を看取った経験がある飼い主さんはその呼吸の意味を察し、獣医師を呼びました。すると、別れの時が来たことを告げられ、涙。
「酸素室を開け、夫婦で撫でながら、『愛してる』『大好き』『かわいいちゃん』『宝物ちゃん』『ありがとう』と伝えました」
病院に連れて行ってから15時間後、りんくんは小さな声で「んなぁ……」と2回鳴いた後、息を吐き、お空へ。獣医師は心臓マッサージをしてくれましたが、飼い主さんはこれ以上苦しませたくないと思い、「このまま逝かせてあげてください」とお願いしました。
「獣医師から、階段を駆け上っていたのは血栓が飛んで痛くて苦しかったから暴れたのだろう、足を舐めたのも血管が詰まって痛かったからだろうと言われました」
猫の心臓病は、早期発見が難しいもの。尿閉だったりんくんは2~3ヶ月に一度、通院して血液検査やレントゲン撮影を行っていましたが、心エコーは受けていませんでした。
「心エコーをしても気づけないことがあるとは聞きますが、定期的にしていれば…と悔やまれて、今も自分を責め続けています」

りんくんを亡くした後、飼い主さんはペットロスに。自身の呼吸や家電のモーター音しか聞こえなくなった自宅が冷たくて広く、寂しい場所に思えました。

りんくんの後ろ姿に似せて作った骨壺カバー
愛猫がいない現実を突きつけられるから、家にいたくない。でもお骨があって、りんがいるから家にいたい。そんな矛盾する気持ちの間で苦しみ、後を追おうとしたことも。

旦那さんも深い悲しみに暮れた
「でも、夫をこれ以上悲しませるわけにはいかないと、思い留まりました。りんに似せて作ったお骨壷カバーで包んだ骨壷を抱きしめ、ただただ泣いていました」