――完成した「こどもフォント」は、どんな用途で使っているのでしょうか?
nyabeeeee:私は普段、Canvaを主に使っているのですが、Canvaではフリーフォントが使えなかったんです。なので、子どもが寝静まった夜にテキストエディタで書いて楽しんでいるぐらいです。

子どもが寝静まった夜、こっそり楽しんでいる
実は、「こどもフォント」が本当に楽しめるようになるのは数年後じゃないかな……と思っています。本人がこんな字を書かなくなり、きれいな字になってきた頃に「こどもフォント」を使ったら、そこでようやく「うっ……(泣)」とくるんじゃないかなと思って(笑)。なので、来たるときを待っています。
――まるで、タイムカプセルみたいですね……! 数年後、「こんな頃もあったな」と浸るためのフォントというか。
nyabeeeee:そう、冷凍保存のような意味でつくりました。今は一生懸命に書いた文字や手紙のすべて可愛いので、まだ手書きを愛でています。

生の文字の可愛さには敵わない
そして、「可愛いな~」と思い出すためにデジタルデータ化しておいたという(笑)。実は、本人には書いた字を「こどもフォント」に使ったとは言っていないんです。
――そうなんですか!
nyabeeeee:はい。まだ、本人はフォントという概念をわかってないでしょうし(笑)。ただ書いてもらっただけで「こどもフォント」は見せていないし、本人は知らない状態です。本人が小学校に上がった後、これを見たら驚くでしょうね(笑)。
――ところで、字を覚えたての今が一番フォントにしがいのあるタイミングだったと思うのですが、5歳、6歳……と成長していくにつれて新たなフォントをつくろうと考えてはいますか?
nyabeeeee:それはないと思います。人生で最初に書いた文字、かつ、子どもが見様見真似で書いた“世界に一つだけの文字”というところがポイントなので。だから、たぶんこの1回で終わると思います。
――これから正しい書き方へどんどん寄っていくでしょうから、その字をとっておく必要はあまりないかもしれません。
nyabeeeee:あと、「お食い初め」「お宮参り」など、ちっちゃい子が迎える“初めて”のイベントって多いじゃないですか? でも、初めて文字を書いたときのイベントは、そういえばなかった。だから、こうやって残したらおもしろいかなと思って(笑)。
――nyabeeeeeさんが書いたnoteを読むと、「こどもフォント」のつくり方が詳しく書いてありました。あの記事を公開した目的に、他のママ、パパにも同じようにフォントをつくってほしいという思いがあったのでしょうか?
nyabeeeee:そうですね。備忘録がそもそもの目的だったのですが、「今、こんな簡単にフォントってつくれるんだ!」ということを知ったので、ほかのママやパパにもおすすめするために書きました。子どもが書いた最初の文字って、保存しておいたらうれしいと思うので。
――最後に、「こどもフォント」の次に「これをつくってみたい!」と考えているものはありますか?
nyabeeeee:生成AIを使ったら、子どもと絵本の製作ができるかも……と思っています。
子どもって即興でお話をつくったりするんです。たとえば今、赤ちゃん(「こどもフォント」を書いた男児の妹さん)と散歩してて、赤ちゃんの靴下がなくなるという事件があったんですね。そこで「じゃあ、『◯◯ちゃんの靴下』というお話をつくろうか?」と呼びかけ、2人でしゃべりながらストーリーをつくっていったんです。そのストーリーにAIで絵を乗っけたら、世界で一つのオリジナル絵本ができるなあ? と思っていて。そういうのは考えています。
<取材・文/寺西ジャジューカ>