
不安過ぎて一睡もできないまま再検査の日を迎えた。この日まで、目を皿のようにして糖負荷検査の再検査をクリアした妊婦さんのブログを読みあさった。そこで、糖負荷検査は数年前に基準値が厳しくなったこと、いまや妊婦の8人に1人が引っかかること、そして高齢妊婦は特に引っかかりやすいことを知った。
どうかクリアできますように……。そう願いながら採血を3回受けた。サイダーを飲む前と飲んで1時間後と2時間後の血糖値を測定する。長丁場の検査なので待っている時間暇だと思い文庫本を持っていったが、数ページ読んだだけで集中力が尽きてしまうほど緊張していた。
やがて診察室に呼ばれた。医師の口から結果が告げられる。
「3回の検査のうち、1時間後の検査が基準値をオーバーしています。妊娠糖尿病です」
目の前が真っ暗になった。あんなに頑張ったのに……。うなだれる私に医師は続けた。
「食事管理をしても引っかかったということは妊娠によって体質が変わってしまったということです。まずは栄養士による栄養指導を受けて自宅で食事管理をしてください。それでも血糖値が下がらない場合はインスリン注射や入院になります」
そう言われ、次回の予約をその場で入れた。しばらくスケジュールが立て込んでいたので、栄養士さんとの面談は10日後になった。
病院からの帰り道、妊娠糖尿病が確定したことへの落胆と、なんだかずっと一人で妊婦を頑張っているような気になってきて、孤独感からボロボロと泣いてしまった。私は妊娠が判明したその日から大好きだったお酒を断ち、妊婦が食べてはいけない生モノを食べずカフェインも控えてきた。
1回目の糖負荷検査に引っかかってからは食事もさらに気をつけるようになり、胎動で眠りが浅いため睡眠は細切れの4〜5時間しかとれていない。お腹が大きくなって動きづらくなったせいで行きたいイベントにも行けず、ずっと24時間、命を育てることだけに集中してきた。
一方で夫は変わらず飲酒を続けて友人と飲みに行き食べたいものを食べ、体に変化が現れるわけでもない。一度、体が重くてしんど過ぎて「妊娠期間の9か月間の半分は男性のお腹で育てられたらいいのに」と冗談半分に言ったところ「じゃあ俺の仕事と変わってよ」と言われてしまった。仕事は放っておいても上司や顧客が死ぬことはないが、赤ちゃんは気をつけていないと死んでしまう。
私が「パパへのアドバイスも表示されるからマタニティアプリを入れてほしい」と言っても乗り気にならず喧嘩になってからしぶしぶ入れて、でも初期設定をしていないためアプリを開いてすらいないようだ。健診後にエコー写真を見せてもよく見てくれないし、私が入院のことや子どものお世話のことを口にすると「どんな子なのか産まれてみないとわからないのだから産まれてから考えればいい」と言う。同じ親になるのにどうしてこんなにも男女で温度差があるのだろう。
妊娠糖尿病について調べていると、旦那さんが食事管理に付き合ってくれて禁酒までしてくれたという人もいた。うちはそういうのはきっと無理だなぁと思うとさらに泣けてきた。