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小学生に“ピル”処方? 40〜50代が驚く「真っ当な理由」。性教育の“穴”が浮き彫りに

 皆さんはこどもの頃、生理について悩んだことはありますか? ハッキリ言って私はあります。しかし、その悩みを周囲の大人に打ち明けたことはありません。不安よりも恥ずかしさと気まずさが上回ったからです。たぶん、同じ気持ちを抱いていた元・女児は世の中にけっこういるんじゃなかろうか。
ランドセルで下校をする小学生の女の子

写真はイメージです(以下同じ)

 認定NPO法人フローレンスのグループ法人であるフローレンスこどもと心クリニック(東京都渋谷区)が、2025年6月より、「小学生からのピル外来(生理外来)」の診療をスタート。小学生や思春期のこどもたちから生理についての相談を受けることで、痛みやつらさなどに悩まされることのない生活をサポートしてくれるのだとか……なんと心強い! これはかなり画期的な動きではないでしょうか。  しかし、実際のところ「小学生からのピル外来」とは、いったいどのようなものなのでしょう? 女子SPA!は、フローレンスこどもと心クリニックのピル外来担当医師である栗原史帆先生にインタビュー。診療についてだけでなく、ピルの服用方法や婦人科に対する誤解についてなども聞かせてもらいました。

生理のつらさは「我慢するのが当たり前」?

──フローレンスこどもと心クリニックは、婦人科ではないのですよね? 「そうなんです。もともとは小児科と女性のための心療内科なんですよ」(栗原史帆先生、以下「」内同) ──「小学生からのピル外来」はどのような方を対象にした診療なのですか? 「小学校高学年から中学生くらいがメインの対象です。この年代って、実は医療から一番遠ざかる時期なんですよ。幼児期のように小児科にしょっちゅう通うことがなくなるので、通院ついでに生理について相談する機会がなくなるんです。  結果、小中学生には『生理のつらさは我慢するもの』という認識が生まれがちになるんですよね。そこを『生理のつらさは受診する必要があるもの』という感覚に変えたいと私たちは考えています」
栗原史帆先生

「フローレンスこどもと心クリニック」ピル外来担当医師の栗原史帆先生

──なるほど。名称にピル外来と入っていますが、ピルを処方することだけが目的ではないのですね。 「はい。さらにいえば、ここは小児科なのでこどもファーストで診療できることも利点です。婦人科だと、普段大人を対象にしているので、大人同士のコミュニケーションスタイルが中心ですが、小児科だとこどもに合った関わり方に慣れているんですよね。ここでなら当事者であるこどもが安心できると思います」

こどもが自分で調べることはやっぱり難しい

──この外来が生まれた経緯を教えてもらえますか? 「当クリニックの院長自身が月経過多だったのもあって、『医師である自分ですら、生理について情報を集めることに制限があるのに、一般の方たちはもっと大変だろうな』と、ずっと考えていたそうです」 ──近年はフェムテックが広まってきたのもあり、生理について考える機会が増えたように思いますが。 「たしかに大人は生理のことを知れるようになってきたと思います。しかし、こどもが自分で調べることはやっぱり難しいんですよ。院長は小児科での婦人科診療の必要性を強く感じていたのですが、もう一歩のところで実現できずにいたそうです。  でも、昨年から私がこちらで勤務をし始めたことが転機になったみたいですね。前のクリニックでは家庭医として婦人科診療を行っていたので、ピルを処方できるんです。そこから1年の構想を経て今に至ります」
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友達にも聞けない「生理の血ってどれくらい出る?」
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