──外来を受診するタイミングの目安などあれば教えてください。
「生理で何か困ったことがあれば来てくださって大丈夫です。具体的に言えば、腹痛や頭痛がひどいとか、経血の量が多すぎて怖くて出かけられないとか、ものすごくイライラしたり落ち込んだりして気分の波に苦しんでいるとか。日常生活に不利益があるようなら話をしに来てほしいです」
──でも、こどもの頃って経血量の多い少ないがわからないじゃないですか。他の人の血の量とか知らないから。どれくらいが受診した方がいいレベルなんですかね。
「たしかにそうですよね。個人的な定義としては、日中に夜用のナプキンを2~3回は替えなければならないと多い方ではないかと。あと経血の塊(かたまり)も500円玉以上のサイズだったらかなり大きいと思います。ただ、こういった基準ってちゃんと示されているわけではないので、誰もなかなか辿り着けない情報ですよね」
──友達と話し合うこともしないですし。
「他の人に『どれくらい出るの?』なんて聞けないですよね。生理の話題は、一般的にもいまだに不潔だったり性的な会話だというイメージは拭えていないと思います」
──女の子同士でもそんな感じなのに、小中学生の男子にも生理を理解してもらおうとするのは、なかなかハードルの高いことですよね。
「個人としては男子生徒にも、メカニズムや症状について知ってもらいたいと思っているんですよ。生理は病気でもなければ、なりたくてなってるわけでもない。これをこどものうちから男性にも知っておいてもらいたいんです。そして、ゆくゆく異性のパートナーができた時に気遣える男性になってほしいです」

栗原史帆先生
──たしかにそういう男性は理想的ですね。
「でも、性教育については現場の教育体制次第というところがありますからね。月経については9歳頃から学ぶべきと国際的なガイドライン(国際セクシュアリティ教育ガイダンス)には示されているのですが、難しいのが日本の現状なんです」