──どのような問題点があるのでしょうか。
「男女ともに、学校で性教育にさける時間が圧倒的に足りないことですね。正直なところ生理の対処法が学校できちんと教えられるなら、この外来はいらないとすら思っています。ピルについても保健の教科書には避妊薬としてしか登場しませんし……」
──そうなんですか?! とはいえ、私もピルを服用したことがないので、誤解している部分はあるかもしれないです。
「女性でも50代以上の方だと、まさにピル=避妊薬=性に奔放な人が使うものという印象が強い方も多いようです。生理痛や生理不順、PMSなどの症状を緩和するためのものでもあるのに、『そんなものを飲むなんてふしだらな!』といった感じで、ピルそのものを理解しようとしなかったりします」
──はなから否定されてしまうのですね。
「そこからマイナス10歳くらい、40代になると飲んでいる人もいる世代になるんですよ。『妊娠しづらくなりませんか?』など、飲むことを前提とした相談をよく受けます。30代に入るとそういった質問もなくなってきますね。世代が若くなるごとにピルへの理解が進んでいる感はありますよ」
──すいません。私も40代なので聞いてしまいますが、ピルによる副作用は本当にありませんか?
「一番怖いのは血栓症(※血管内で血のかたまりができ、血流が阻害される病気の総称)なのですが、発症の確率は0.09%くらいですね。交通事故に遭うより少ない確率です。ホルモン製剤なので、ピルが体に合うまでの一週間くらいは、頭痛や腹痛、胸が張るなどの症状が出ることがありますが、徐々に体が慣れていくのであまり心配はいりません」
──ピルは太りやすくなるなんてウワサも聞いたことがありますが……。
「現在処方されている低容量ピルが開発される、数十年前の話のようです。ピルに入っているエストロゲンとプロゲステロンという2種類のそれぞれのホルモンの量やそのバランスが現在とは異なり、食欲増進の副作用があったそうです。
今は処方されるのは低用量か超低用量ピルが主体ですし、開発も進んでいるので、ピルのせいで太るということはありませんよ。ホルモンが安定すれば食べ過ぎは抑えられます」