「この猛暑で靴下を…?」アラフォー妊婦が助産師の指導に驚いたワケ。先輩ママに相談してみると
37歳で想定外の妊娠をしたフリーライターの私。
長年、生理不順で3〜4か月生理が来ないのは珍しくなかったこと、婦人科で不妊治療をしないと妊娠は難しいと言われていたこと、ADHD(注意欠如・多動性障害)の特性でセルフネグレクト癖があり自分の体の管理がおざなりになること、さらに算数障害(発達障害の一種で数字、計算に困難を抱える学習障害)で生理周期を把握していなかったことなどさまざまな要因が重なって、気付いたときにはすでに16週(妊娠5か月)に入っていた。
30週に入るといよいよ妊娠後期。出産する病院で開催される母親学級や、行政主催の両親学級に参加することにした。
【連載を初めから読む】⇒連載「ADHDライター、突然ママになる」
私には近所にママ友が一人もいない。母親学級の参加者は同じ病院で産む人しかいないので、近所に住んでいると思われる人ばかり。
近所にママ友が住んでいれば気軽に育児の相談ができたり、一緒に公園に行ったりできそうだ。今までは既に産んでいる友人に聞くか、マタニティアプリのSNS機能で本名も顔も住んでいる場所も知らないプレママ(妊婦)としか情報交換をしたことがない。
そんな淡い期待を抱いて母親学級に参加したが、その期待はすぐに打ち砕かれた。母親学級の会場に入室すると、既に半分くらいの席が埋まっていた。話ができる雰囲気ではなくシーンとしている。時間になり、助産師さんが説明を始めたがひたすら座学のみ。途中、トイレ休憩を一度挟んだが、誰も他の人と話していなかった。
ということで、ここでのママ友作りは失敗に終わった。母親学級の中身は、出産に向けての体調管理や出産当日のこと、産後の授乳について。しかし、ここでかなり厳しいことを助産師さんに言われた。
・暑いけれどアクエリアスやポカリは禁止(食事で塩分はじゅうぶん摂れている)
・暑いけれど冷えないように靴下をきちんと履く
・甘い物(チョコ)は出産当日のみOK
私の場合、妊娠糖尿病なので塩分や糖分を控えるのはわかるが、ハイリスク妊婦ではない妊婦にまでこんなことを言うのかと驚いた。そして今年は猛暑。妊婦は体内に熱がこもりやすく、暑さにより早産のリスクが上がることをニュースが報じていた。こんなに暑くても体は冷えるものなのだろうか。
疑問に思って、出産経験のある作家の先輩に相談するとあっけらかんとした返信が来た。
「助産師さんはもちろん良い人もいるけど、行きすぎた自然派とかスピリチュアルな人が多いからあんまり真に受けなくていいよ」
そう言えばとあるライターさんが、反ワクチン的な発言をしたり、冷え予防のために靴下を5枚も重ね履きすることを勧めたりする助産師さんがいるという記事を書いていたのを思い出した。
さらに、医療記者の先輩に相談すると「助産師の教科書にも医学的根拠のない対処法が書かれているので気を付けてください」と、以前その方が取材した記事のURLが送られてきた。
その記事では、乳腺炎になったときにキャベツを湿布代わりにして胸に当てて冷却をするよう助産師に言われたという例が紹介されていた。キャベツで冷却できるというエビデンスがないどころか、キャベツに付着している可能性のあるリステリア菌が赤ちゃんの口に入ると敗血症や髄膜炎など極めて重い感染症を引き起こすことさえあるという。
出産や育児に詳しい小児科医にも取材依頼の際に相談したところ、「そんなことを指導する助産師がいるなんて衝撃的です」と言われた。



